「Li−tweet」 2015春号
特集テーマ
『百合/薔薇』
特集に寄せて
ある漫画がある。
舞台は、地方の海沿いの女子校。高校3年のふたりの女子高生の一年が乾いた筆致で描かれている。
ある本に、その作品が百合と紹介されていた。ふたりは互いを好きになる。そして、キスをする。
自分はその作品を百合と思ったことはなかった。
ふたりは同性を好きになる。
それはおとなになるとき経験するものが同性であった、というかざらない必然とおもう。
手の届かないとおもっていたものに手が届き、あこがれていたものも自分と変わらない存在とわかり、そして互いの人生をあるいていく。
変わらない日常のなかでたいせつなものを見つける。
性別は関係ない、とおもう。
百合や薔薇とはなにか。
恋や性の視線だろうか。かわいさ、女性らしさ、男らしさを引き立たせるものだろうか。
生きづらさのなかで生まれたものだろうか。
どれもがただしいとおもう。そして、まちがいもないとおもう。
百合や薔薇はたいせつなひとのたいせつな部分を加速させる。
それは、たいせつなものへの視線も描くだろう。
あなたにとって、大切なひとは誰ですか。
○特集
小説「シコウの物語」(55枚) :常磐誠
小説「どこへいくの、みかちゃん」(20枚) :尾崎枕
小説「追憶の晩鐘」(55枚) :七夜月尚
小説「マイノリティと美的問題」(7枚) :光枝初郎
特集座談会「百合/薔薇を扱う作品について」
○自由
小説「前夜祭」(30枚) :小野寺那仁
小説「消費される愛、俗的な愛、神聖な愛ーーIn rhythmⅡ」(14枚)
: 光枝初郎
歌集「三十一字の少女幻想」 :七夜月尚
○連載
小説「瞳 子」第三回 (83枚) :常磐誠
小説「書かれなかった寓話」第五回 (34枚) :日居月諸
評論「暴力論」第三回 (8枚) :光枝初郎
○エッセイ(お題『食』)
「薔薇と兎と西部劇と」(4枚) :アキ
「ピザまん」(4枚) :あんな
「好き嫌い」(21枚) :新嶋樹
「お砂糖はいくつ?」(6枚) :七夜月尚
「それがオムレツである理由」(9枚) :みおみね
「京都にて」(2枚) :光枝初郎
○書評
「ヘルタ・ミュラー『心獣』レビュー」(5枚) :光枝初郎
○合評会←作成中近日公開
第一回「その手に消えた」「キョウゲン」
第二回「言葉にすれば、自然と音は」「かたうでがり」「インタラクティブ」
第三回「In rhythm――断章」「アットマーク」「真昼の濁水」
○記録
○記事