懐かしむことがそれぞれ弔いであるような春の午後に
美しい色彩のなごりをまぶたに敷いて
眠る夢のなかであなたの帽子が飛ばされてしまった
風に、そう強い風に
その行方を追うには早すぎる季節でした
細やかに流れ落ちる春の粒子のなかでまどろみ
ステップを踏もうとする脚の動きを止めるような
春に、氾濫する春に
僕たちはいつまでも綺麗でいようね、と
囁き合った季節を手にとって懐かしむことが
それぞれ弔いであるような四月の急斜面に煌く
数多くのあやまちを踏みながら靴を汚した記憶
振り返ることが罪で、その意味を問うことが罰なのですよ
耳の先で鳴り響く車輪の音、強く、そう強く祈りなさい
僕たちはいつまでも綺麗でいようね、と
囁きあった季節を懐かしむことがそれぞれ弔いであるような
春の午後に