中学校時代バレーボール部に入っていた。一番楽しかったのは二年生の時。先輩の後ばかりをくっ付いていた。同級生ではなく進んで先輩と一緒に練習していた。プレーも同級生の中では抜けていたと思う。二年生で唯一試合に出た部員だった。
三年生になって先輩たちはいなくなり、自然とキャプテンを任された。顧問の先生の都合で後輩はいなかった。部員は全員同級生だった。仲が悪い訳ではなかったけど、うまくいかなかった。全然練習をせず、遊んでばかりの部になった。
自分自身もスランプになった。スパイクが打てなくなった。実力を伸ばす同級生もいた。一人だけじゃなく何人にも抜かれた。
部員をまとめることもできない。実力もない。スランプでやる気が出ない。全然楽しくない。キャプテンを辞めたいと思った。でも辞めなかった。はじめての受験、高校入試が控えていた。履歴書にバレー部”キャプテン”と書きたいという自分だけの都合。それだけの理由で辞めなかった。そしてグータラのまま、後を継ぐ後輩のいない部は終わった。
中学を卒業し、第一志望の高校に入学することができた。しかし、僕がキャプテンを辞めていれば部がよくなっていたかもしれない。自責の念は残り続け、嫌な思い出になった。
あれから十年が経った。今思えばキャプテンの肩書きがそんなに入試の役に立ったかも疑問だけど、改めて考えて、僕は第一志望の高校に入学したんだ。目標は叶っている。
小説を書く上でも批判されたり自分を責めるようなことはある。いちいちそんなものを気にしていたら小説なぞ書き続けていられないだろう。
目標を達成するためには自責にも他責にも負けてはならない。
今月号の表紙の写真はあんなさんに提供してもらいました。創作・連載に投稿されていないけど厳密なこと言わずに採用です。
しろくま