このページでは、第1部「作品紹介」終了後の会話(skypeログ)を掲載します。Part1とPart2の2部構成です。
話題は、小説の読み方、己の文学観のたとえ話、文学の今後の展望、歴史に対する認識、そして“現代社会における物語の位置づけと、文学(小説)・芸術について”の大激論(私は沈黙してますがw)などなど。
さまざまな話題から、参加者たちがどう文学を捉えているのかがはっきりと表れている、面白い内容になっていると思います。ぜひご覧ください。
なお、(※ )内のテキストは、後から私(プミシール)が加えた注釈です。
参加者等は以下の通りです。
Part1(1/30 0:37~1:30)
参加者:プミシール、タキートン
(以下のログではそれぞれプミ、タキ、と表記しています)
Part2(5:00~ 7:30)
参加者:プミシール、タキートン、イコ
それではどうぞ(Part1と2のあいだの時間の会話は、私的な内容を含みますのでカットしました)。
Part1
プミ:小説はどんな風に読むのかな?タキートンさんは
タキ:最近、ああいう読み方(※タキートン氏のレジュメ等参照)をするよう
になったのですが、つい去年までは単純に「僕の共感を呼び起こすか」
どうかだけで判断してましたね。
プミ:共感か…。僕はそういう読み方を一切しないからな
タキ:あ、そうなんですか
プミ:僕は、さっきも言ったけど、テキスト(テクスト?)だけをもってでき
るだけ判断したくて、たとえば、作家の背景とかが作品に滲んでいても
それは副次的にしか考えない。
プミ:あんまり詳しくないんだけど、タキートンさんの方がたぶん詳しいけど
w、テキスト論的な読み方がしたいと思っているのです僕は。っていう
か、技術分析かな?
タキ:なるほど。内容よりも、技術的な部分の凄さで判断したいということで
すね。
プミ:内容ももちろんだよ。さっきの「穴」でもそうだけど、その技術が、い
かなる内容を表しているか。
タキ:はい、わかります
プミ:内容と形式の関係性っていうのかな? 内容が形式を表すこともあれば
形式が内容を表すこともある。そういうところに目を向けて読んでる
ね。映画も観てるね。だから、泣いたりはしないよ。例えば本を読んで
も映画を見ても大体は。
タキ:なるほど、文学者的な読みですね
プミ:だけど、そういう読みを超えて、感情を動かされるものもある。そうい
うのは、またすごい作品だなと思う。
タキ:そこは、共感ですか?
プミ:うーん、共感の時もあれば、何と言うんだろうか…。でも、まとめてし
まえば、共感、かなやっぱりw
でもね、共感するにいたるプロセスはやっぱり踏んでないとだめで、内
容と形式の関係性にある程度、納得がいってないとそこには至らないよ
タキ:なるほど。僕は前家に例えてツイートしたことがあります。
プミ:ふむふむ。
タキ:プロの建築家が見れば、腰を抜かす建築物と、自分が住みやすい家、ど
ちらかが良いかというものです。
プミ:あ、みたかもしれない。
タキ:はい。
タキ:プミさんは、多分建築美にうちふるえるタイプですよね。どちらかと言
えば
プミ:うん。そうだと思う。タキートンさんはそういうのに否定的なんだっ
け?w
タキ:そうですねw でも、相手の考えを否定はしませんw
タキ:僕は小説は、誰のためにあるものか、と考えます。そうすると、やはり
一般市民なんですよね。 そう考えると、建築美よりも、機能性を重視
した住宅を考えたい。
プミ:うんうん。
タキ:まず多くの人に住んでもらえる住宅が大前提です。今の一般的な住宅み
たいなものです。それに、どれだけ僕の意見や、真心を加えられるか、
そしてその人の人生の拠点や心の支えとなれるか、と考えています。
プミ:なるほど。小説は人口に膾炙しなければならない、という言い方でも、
それてない?
タキ:それてないですw
プミ:ふむ。となるとね…
プミ:僕は小説はやっぱり芸術だと考えていてね。
タキ:なるほど
プミ:芸術作品は人口に膾炙しなければならないってわけじゃないよね。
タキ:そうですね。
プミ:大衆に広く知られる芸術が程度の低いとは思わないけど、芸術に、膾炙
しなければならない義務はない。もしかしたらそれはマスターベーショ
ンと言われるかもしれないけど、自分の信念を貫いた作品であってほし
い。
プミ:それが多くの人に届かなくても、誰かに届く。そして、本当に価値のあ
るものであれば、時の試練を超えると思っています。
タキ:全くもってその通りだと僕も思います。
プミ:そうだね。ルートは違っても最後の方は、一緒だよねww
タキ:そうですねw
タキ:ただ思うのは、非常に現実的な話をしますが、僕は、歴史に残る作品が
今の現代の作家達よりも、大ヒットアニメの方が多いのでは、という予
感がしています。
タキ:なぜなら非常に現代的だからなんですよね。純文学は、昔から伝わる手
法で伝統芸のように語られているイメージがあります。しかし、未来の
人が見れば、面白いし、歴史的だと思うのは、今この21世紀的なもの
だと思うのですよね。
プミ:ふむふむ。ちょっと待ってね…エーと…
タキ:はいw
プミ:純文学を伝統芸と見るなら、例えば、今の歌舞伎とか、狂言とか、ああ
いう風な残り方をするとして…
タキ:そういうことです
プミ:それは、今の僕たちにとって、面白いし、歴史的だとは思えないってこ
と? 今の僕たちにとって、その(未来人にとっての)大ヒットアニメ
的なものとはなんだろう? 映画とか? 結局、人口に膾炙したものが
歴史の中では、ポイントになっていくってことかな?
プミ:例えば、純文学もそういう時期があったね。石原慎太郎の「太陽の季
節」とか。
タキ:そうですね。あ、でも人口に、っていうことではないです
プミ:おっと、どういうことかな?
タキ:今の現代を写しているかどくか、ということです。
プミ:大ヒットアニメは現代を写している? 例えば、どんな作品を想定して
いる?
タキ:エヴァンゲリオンがまず代表格だと思います。
プミ:ふむふむ。それは分かるよ。
タキ:あれは95年に作られました。95年はオウム真理教事件と、阪神大震
災があった年です。
プミ:うん。
タキ:そして、90年ぐらいに、バブルが崩壊しました。90年代前半は、そ
れでもまだバブルの余韻があったんです。これでも俺たちなんとかなる
のではないか、的な。
タキ:でもそのオウム真理教事件と阪神大震災はその意気を消沈させました。
ひとつの見方ですが
プミ:でも分かる気がするよ
タキ:ありがとうございます。
タキ:その年にエヴァンゲリオンが出て、またたく間に社会現象になりまし
た。それはなぜか、と言えば
タキ:すみません、そのまえに
プミ:うん?
タキ:95年のそれらの事件で、あらゆる物語が失墜したんです。例えば高度
経済成長。オウム真理教とバブルは似ています。みんな、怪しいけど、
怪しい物を信じていたんです。
プミ:なるほどなるほど。
タキ:その物語に乗っかていた。でも、95年にそれが崩壊しました。
タキ:それを描いたのがエヴァンゲリオンと捉えることができます。主人公は
わけのわからない団体に所属し、自分の居場所を確保したかと思えば、
いつのまにか友人を殺し、仲間がどんどん死んでいきます。組織の一番
偉い人の指示で。
プミ:ははー。そういう見方ができるんだ…
タキ:はいw
プミ:全然思っていなかった…。現実を写しているってことだね。
タキ:そういうことですw
プミ:なるほどー。わかった。
プミ:今僕は、じゃあ、文学でそういうアプローチがないわけじゃない、と言
おうと思ったけど、確かに、エヴァンゲリオンより強力な意味で、そう
いう小説があるかと言えば、具体的な作品を一つもあげられない。
プミ:ということで、歴史に残るのはエヴァンゲリオンだと、こういう訳か
な。
タキ:そうですね。表現もキャラクターとか萌え要素を使っているあたりもま
た現代的かな、と思っています。
プミ:なるほど、多義的な意味で現代的というわけか…
タキ:そうなのかなーと考えています。
プミ:ふーむ。わかった。理解しました。自分でももう少し考えてみたいと思
う。
タキ:あ、はいw 僕も色々とお話を聞けたらと思っているので、お願いしま
す。
プミ:わかったよ。歴史というキーワードには僕はちょっと思うところがあっ
て。文学のことなんだけど
タキ:はい。
プミ:文学は終わってる、とか、文学に未来はない、とかいう人がいるでしょ
う?
タキ:いますね
プミ:そういう人たちに聞きたいのだけど、文学の歴史を知ってて言ってる
の?って
タキ:なるほど
プミ:これまで文学は生き延びてきた、否、堂々と生きてきたのを知らずして
判断はできないはずだ。
プミ:今の先端だけをみて判断すると言うのは、映画で言うと、エンドロール
だけ見て、この映画つまんないって言っているよなものだ
タキ:確かに、私もとやかく言う資格はないです。
プミ:いや、僕にもないんだよw
タキ:いえいえw あるのではないですかw
プミ:いや、ないw
プミ:歴史とは時の積み重ねであり、それをすべて追体験するように学習する
のなんて、つまり「歴史を分かる」なんて、ある時代のあるポイントで
たまたまある期間生きている僕たちにとってもはや不可能に近い。
タキ:そうですねw
プミ:しかし、それでも、歴史をしり、そこからつかみ取り、何か自分にでき
ることを見つける。もしそれが、たまたまどこかでなされたことでもい
い。新しさを僕は文学に求めているんでないんだ。歴史を知るために読
み、書き、している感じなんだよね。僕は。
プミ:だって、なぜ小説を書くのかって聞かれたら、小説を読んだから、じゃ
ない?
タキ:はい。
プミ:僕は小説を読み始めたのは、大学に入ってからで、それまで全然本って
読んでなかったんだ…。それで、でも小説に出会って、こんなすごいも
のがあるのか! となって、もっと知りたい、いろいろ読みたいって思
って。そうすると、自分もその歴史に参加したい(書きたい)と思うよ
うになったんだよね。
ま、具体的にそう思った訳でないけど、今思えばw
Part2
プミ:タキートンさんは、そういえばどんな作家がすきなの?
タキ:そうですね。イコさんには前お話しましたが、村上春樹とドストエフス
キーが好きです。
プミ:おー。そっか。ドストエフスキーは好きだけど…村上春樹は…
タキ:おw
イコ:おれはどちらも熱心な読者でない・・・w
プミ:ちょっとでも村上春樹については、非常に繊細な部分で嫌いなので、詳
細をさけさせてください。ごめん
タキ:wwww いえいえ僕は何言ってもらっても全然構わないのですがw
タキ:とりあえず、村上春樹は僕に近い主張の人間であることは確かですね。
僕がその影響を受けたとも言えますし。
プミ:ふむふむ。彼は物語にとても重きを置いている人だよね。さっきのタキ
ートンさんの紹介してくれた作品も、物語を非常に重視していたし。
タキ:そうですね。二つとも共通点があって、構造的に面白い、というのがあ
ります。
プミ:さきほどオウムなどの話(※Part1)のときでも、物語のことについて
言及していた。タキートンさんは非常に「物語」の力を信じておられる
のだろうね。
タキ:そうですね。社会的物語が失墜しているポストモダンの今は、まさしく
求められるのは物語の力だと思っています。いや、どうだろうなあw
プミ:ごめん、ちょっと過激なこというけど、
タキ:はいはいw
プミ:オウムも物語だったのなら、求められる物語も、またオウムになる可能
性があるのではないか?
タキ:ちょっとまってください。
プミ:うん。
イコ:議論の入り口に踏み込んだな、プミさんww
プミ:あさ5時に
タキ:ちょっと言いたいことがわからないです。プミさんは、物語に力がない
とすると、何に力があるとするのですか?
プミ:あ、なるほどね。
イコ:わくわく(静観)
プミ:うーんとねえ。物語に力がないとは言ってなくてね。
タキ:はいはい。
プミ:物語は力があるのはとても分かっています。だからその対立項を僕は提
示したいんじゃなくて…。小説という範疇でまず考えさせてね。
それだと物語は、第一義的につねにあるものじゃない。
タキ:人生ってことですか?
プミ:ん?
プミ:僕のように、小説で言えば、技術を第一義的に考えているってことだ
よ。
タキ:あ、すいませんw話を途中でさえぎりましたねw
プミ:いえいえ。逆に人生ってことですか?という意味がしりたいなw
タキ:いや、人は常に物語を持ってる的な意味かなとw
プミ:あー、なるほど。
タキ:プミさんの言いたいことがまだ掴めてません。
プミ:うーん。ごめん。もう少し説明するね。
タキ:お願いします!
プミ:だから、社会的物語が失墜しているポストモダンに新たに必要とされる
のは、物語かもしれないけど、その力はとても強力なので、なにか危険
をはらんでいるので、それだけが唯一の答えと言っていいのかな、と思
ったと言うか…。うーん、ごめん。うまくいえないや。
タキ:なるほど。
イコ:たとえば、アニメ的なリアリティが、現実に侵攻する、ということです
か? アニメを見た人間が、犯罪をおかすと?
プミ:うーん。そこまで具体的に言ってるわけではないけど…
タキ:僕が想定しているのは、今、社会における物語の力がほとんどなくなっ
ているということなんです。そしてグローバル化によって市場システム
に人々が支配され始めています。
タキ:そこでの対処療法として、物語の力で、なんとか人々をシステムから救
いたい。想像力をふくらませたい。そういうことなんです。
イコ:マンガやアニメ、小説において、物語は力をなくしている?
タキ:なくしてます。今は多様な価値観が氾濫していて、みんなが信じるよう
な正しい物語はどんどんなくなっています。それがポストモダンです。
プミ:ごめん、分からない者の意見として聴いてね。
タキ:はい。
プミ:物語と市場システムって真っ向から対立するものなの?(※この質問の
答えはしばらく先で登場する)
イコ:需要と供給の関係から抜け出せない市場から、「表現」を救おうという
ことですか?
タキ:イコさん>いえ。例えば、我々は今動物化してるんです。システムに抗
えない。
イコ:東の思想っぽですね
タキ:僕はかなり東ないずされてますw
プミ:ほへーそうなのかあ
タキ:でも、さっきまでの言ったことは村上春樹の主張でもあります。エルサ
レム賞の受賞スピーチで言ったことですね
イコ:現代思想は、システムにあらがえないってところでとまってますね。人
間はいわゆる将棋の駒のような存在である、ということ
タキ:いえ、違いますよw それは経済学的考えですw
イコ:ほう
タキ:現代思想が言う、動物化ってのは、多様な価値観の必然的な副作用なん
です。
タキ:ヘーゲルが言う人間の定義はこうです。「環境を否定する力を持つ」の
が人間である。
タキ:でも、今の現代人はそれが失われています。なぜか、と言えば、昔社会
を支えていた、権威が持つ、例えば家父長制、例えば政府、例えばマル
クス主義、例えば、経済成長の物語が失われているからです。
昔はそれらと比べて、人は自分が正しいかどうか、また反対かどうか判
断していた。
イコ:論旨が呑み込めて来ましたよ
タキ:でも、今はそれが失墜したので。主な価値基準がない。なので、与えら
れた環境に反対することもできず、ただ多様な価値観が氾濫するだけな
のです。そういう意味での、物語がなくなったということです。
イコ:おれは竹田青嗣さんをかじってる程度なので、それでも経済学と哲学は
密接に結びついているだろうとしか言えないんですけどね
タキ:はい。
イコ:この場合のシステムは、高度資本主義社会っていうとらえかただったん
ですよ。だから市場っていう言葉が出てきたんだろうと
タキ:うーん。ちょっと僕にはわからないですね…
イコ:高度資本主義社会をひっくり返す、新たな社会をのぞむ、ということな
のかな、と。そこに物語が必要なのだろうと読んだわけですよ
タキ:いえ、違います。そこでなんとか生きるための対処療法ですねw もう
これは抗えない流れなので。
イコ:やはりあらがえない、というところには立ってるんですね。よかった。
タキ:はい。これはどうしようもないです。コンピュータの発展はこれが必然
的につきまといます。
イコ:ではどうして環境を否定する必要があるのだろう?
タキ:面白い質問ですw
イコ:前提をくつがえすようで悪いけれどねw
タキ:例えば、文学部がなくなるって話と繋がるんです。市場淘汰で、文学部
がなくなるとして、僕はそれが良いとは思わない。少しでも抗いたいん
です。
イコ:ふむふむ
タキ:大きな話で言えば、人ってやっぱり色々な感情を持った生物です。市場
システムに飲み込まれた時、心のありようは非常に考えなくてはいけな
い問題です。
イコ:学問の力というのは、そこまで弱まっているのだろうか?
タキ:例え話のことですか?
イコ:そうです。今後、市場に呑み込まれていくんでしょうか?
タキ:いえ、僕はそうじゃないと思いますw むしろ文学部が繁盛すると思っ
てますw
イコ:大学という機関の研究機関たる側面は、今後も失われていかないと思う
し 、それは「環境を否定している」ということにつながるのだろう
か?(大体論旨は把握してるんだけど、あえて分かりやすくするために
質問してます。俺とタキートンさんの論旨はずれてない)
タキ:それは難しい問いだ…w
イコ:文学っていうのは、生や世界への問題意識から生まれることは確かです
よ
タキ:はい。
イコ:問題意識というのは、なんだろうと考えてみると、環境への否定につな
がってくるところもあるだろうと思うんですね
タキ:そうですね。
イコ:ただし、正しい物語の復興を、というのはちょっと首肯しがたいところ
もあって、正しいって言っちゃうと、それこそ、プミさんの言う、「オ
ウム」につながってくるのではないかと。文学が宗教的な力を秘める必
要があるのかっていうと、おれはないと思う。
タキ:なるほど。
イコ:プロレタリア文学のように、なにかのプロパガンダになる必要もないと
思うし。
タキ:正しい物語はもう永遠に復興しませんね。
イコ:もし可能ならタキートンさんのいう、正しい物語の例をあげてもらえま
せんか
タキ:正しい物語っていうのは、つまりナチズムとか、天皇制とかああいう大
衆が支持するって意味です。本当の意味で正しい物語は歴史上ありませ
んねw
イコ:ナショナリズムに結びついていくってことかー
タキ:そういうことですね。もうみんなが一つの物語に乗っかって騒ぐ時代は
終わってしまいました。
イコ:もっと本質的な欲求でいうと、タキートンさんは「一つの物語に乗っか
って騒ぐ」ことがしたいんですね。
タキ:いえ、違いますw
タキ:あれーw
イコ:あれ?
プミ:対処療法を続けていくんでしょ?(久しぶりに発言w)
タキ:あ、はいそうですw それはあくまで対処療法なんです。
イコ:人を救う物語ねぇ・・・
プミ:市場システムに飲み込まれた社会において、物語の力で覆すんじゃなく
て、抵抗を続けるというような意味かな?わからんけど。
タキ:そういうことです。
イコ:抵抗っていうほど、明確な意識はないんじゃないですか? 個の解放、
程度の意味なんじゃないか。
プミ:どう?>タキートンさん
タキ:どちらもの意味でもありますね
プミ:ははあ。
プミ:ごめん、だいぶ前にした僕の質問をもう一度してもいい?
タキ:“プミ:<<< 物語と市場システムって真っ向から対立するものなの?”
タキ:ですよねw
プミ:そう、それそれ。そのじゃあ、社会を呑みこんだ市場システムだって、
物語でないの?ってことだけど…
タキ:いえ、これは物語ではなくてシステムです。物語は人々が信じているも
ので、能動的です。システムは否が応でも従わないといけないもので
す。
イコ:とても分かりやすいね。人々のよりどころになるような物語がほしいと
いうことだな
タキ:イコさんそういうことです。
プミ:じゃあ、物語が機能していた時代に、そういうシステムはなかったの?
規模が小さかったの?
タキ:システムは物語と別に存在していました。例えばマルクス主義。あれは
資本主義の中で起こった物語です。
プミ:ふむふむ。あ、わかった。だから、マルクス主義が広がった時代と言う
のは、システムに物語が対抗し得た時代ということね。
タキ:そういうことです。それがいいか悪いかは別として、物語を有していた
時代なのです。
イコ:プロレタリア文学の勃興も関係ありそうだ
タキ:そうですね、関係していると思います。詳しくはわかりませんがw
イコ:マルクス主義が、低賃金重労働の労働者や、学生たちのよりどころにな
ったのは確かでしょう
タキ:はい、そうですね。
イコ:しかし今の時代に、そのような懐の大きいよりどころを見出すのは難し
いでしょうね
だからタキートンさんのいう「物語」を、もっと小さい意味での、「物
語を読んで救われたように感じる」というくらいの意味として考えたん
ですが、文学を読んできた人間からすれば、ちょっとうなずきがたい理
論ではある
タキ:あ、そうなのですか。
イコ:たとえばおれは「文学」を読んで救われたことなど一度もないです
タキ:まじですかw それは物語的な意味ですか?
イコ:もちろんです。どんな名作を読んだってそうですね
タキ:なるほど
イコ:むしろ「文学は人を救わない」って、積極的に言っているくらいです。
だって「文学」とは世界や現実、人間という高度に発達した動物の理解
につながるものだもの。
イコ:芸術、と言い換えてもいいですよ。それは結局、他と違う自己を意識す
ることにほかならないんですよ。共感なんてものは、まやかしに過ぎな
い
タキ:うーん。芸術が共感や感動を及ぼさないものだとすると、何のためにあ
るのでしょうか。
プミ:(しゃべってないけどすごく面白く聞いています)
イコ:芸術は人間を理解するためにあるのです。
タキ:プミさん>ありがとうございますw
イコ:世界、といってもいいです。別に人間じゃなくて、自然、でもいいで
す。
たとえば科学が、証明を繰り返しながら秘められた世界のなりたちを解
き明かしていくように、文学は、文字の積み重ねにより、科学では解き
明かせない人間という動物の謎を解き明かしていくんですよ。
タキ:それは本当ですか? にわかには信じられないのですが
イコ:人間のひとりの悩むすがたに共感したり、涙を流すのは勝手です。しか
し、結局そこに描かれるのは、「ひとりの人間の悩むすがた」である。
それ以上でも以下でもない。
タキ:凄いシステム的だなあw
イコ:システム的でしょうか? 芸術とは常に、冷然と存在するものだと思い
ますけどね
タキ:でも芸術ってコミュニケーションですよね。例えば、人間一人でも科学
は成り立ちますが、芸術は一人じゃなりたちません。数学は一人ででき
ますが、芸術は読み手がいて初めてなりたちます。
イコ:いや。数学も数式を見られなければ、意味はないんですよ。裏返して言
えば、数学も文学も、他者の目によって認められる
タキ:いや、例えば一人で人間が火星にいったとして、科学は役にたちます
よ。
イコ:役に立つかどうか、という話ではないですよ
タキ:なるほど。芸術論ですね。
イコ:そこに存在する数式、そこに存在する文学、それにかわりはない
イコ:文学はたしかに科学にくらべれば、サバイバルの機能を有してはいませ
んよ。ひどく迂遠で、実際的でないかもしれない。
タキ:わかりますが、文学は人を描いているものでしょう。コミュニケーショ
ンなしには生まれない。
イコ:しかし、そこに描かれる人間のすがたが、その後の人間のありようを左
右することはあるでしょう。もちろん勝手に左右される
タキ:その後の人間が必要ですよ、やっぱり。
イコ:勘違いしたくないのは、文学は政治の道具じゃないということ
タキ:違いますよ。人間のため、だと言ってるんですよ
イコ:しかし芸術というのはあくまで冷然と存在していて、そこに「人を救い
たい」などという恣意性は存在してはいけないと思うんですけどね
タキ:しかも、僕は文学とは一度も言ってません。芸術とも言っていません。
ただ、僕は小説という媒体を使って、物語の力で人々に少しでも豊かな
生活を、って思ってるんです。
携帯小説でもいいんです。僕は自分が携帯小説作家だと思ってます。
イコ:ふむー。物語の力かー
タキ:僕自身、物語で幾度と救われたことがあるのでw というか、それがな
ければ僕は生きてないですw
プミ:ふーw(※情けない限りであるw)
イコ:タキートンさんのいう、いわゆる物語を、文学的なものと解釈していま
したよ。すみません。
タキ:いえ、けっこう難しいとこだと思いますw
イコ:そうすると、おれとはだいぶ目指すところが違うんですね。
タキ:そうですね、私は小説じゃなくてもいいんです。小説という媒体の可能
性が僕には一番あると思えたから、という、そんな考えです。Twitter
でも論文でも、なんでもいいので、伝えられれば、と思ってますw
イコ:ちなみにおれもタキートンさんの年齢のころは、自分の小説の力で、マ
イノリティに光を、って思ってました
タキ:なるほどw でも変わったのですねw
イコ:今はまったくそう思わないですねw 小説を愚痴や世界への呪詛、何か
の抵抗の道具にしたくないって、いつか思うようになった。小説をきち
んと小説にしてあげたいな、と思った。
イコ:別にタキートンさんがそうだっていうわけじゃないですよw
タキ:あ、はい大丈夫ですw
タキ:純粋な芸術作品にしていくってことですよね。混じりっけなしで人々を
描く。写真のような小説を目指しているってことでしょうか?
イコ:写真かーw 表現は必ずしもリアリズムじゃないけれどねw
タキ:なんというか、世界をそのままうつす鏡のようなw
プミ:だいぶ軽くなってきたwそろそろ僕も話そうかな…(※情けない限りで
あるw)
イコ:ww
タキ:すみませんw
プミ:いやー、ちょっとした一言がここまでいくとは
イコ:プミさんが発端ですよw
プミ:社会の話から、それぞれの文学観の話になって、小説の話にもどってき
て。はー、幅の伸縮がすごい
いや、僕の発言が発端なんですけどねw
プミ:すまないことないよ>タキートンさん
タキ:びっくりするぐらい勉強になりました。そういう芸術観を持ったことが
なかったので。
イコ:10年以上小説書いてきて、培ってきたものなので、揺らがないですよ
タキ:これは確かに素晴らしい姿勢だと思います。
プミ:そっかー、僕はタキートンさんの考え方にびっくり。
プミ:イコさんとは共通するものがあるけど、僕はもっともっと、小さく考え
ている。
タキ:興味があります。
イコ:聞かせてくださいませ
プミ:僕は小説を芸術作品だと考えているけど、人間を理解するためのものと
いうふうな考えはなくて、純粋に人間の技術の粋である、と考えている
だけです。だから技術を第一義的に考えているんです。僕はね。
タキ:まさに「文芸」という言葉がしっくり来ます。
プミ:人間がすごいってことには、なるんだけどね。さっきの写真にたとえた
話で言えば、僕は、小説家は時計職人みたいであってほしいな。だから
お二人みたいに広がりを持たれると、ついていけない部分ありw
イコ:プミさんらしい、しっくりする言葉です。
はじめてそういう文学観を聞いたときは、いささか驚きましたが。
タキートンさんの考え方は、むしろわかりやすい
タキ:あ、そうですかwよかったですw
プミ:いささか驚いた?
イコ:いやー、職人なのかー、技術なのかーと思って。おれは小説のなかの解
き明かせない「何か」に文学を感じる人なので
タキ:面白いです
イコ:そういうのって、単に職人って言葉で片づけられないんじゃないかと。
だから、違和感があったんですよ
プミ:そういう部分がある可能性を否定しなかったでしょ、でも。
イコ:そうですね、そのときはプミさんも、まだ立場がかたまっていない、と
いうような言い方をしていたように思います
プミ:そうそう。イコさんと話して、ゆらいだんよ。
タキ:時計職人ということは、つける人のことは想定していますよね。
プミ:つける人、っていうのは読者ってことで言えば、想定しているね。僕は
さっきも言ったけど、誰かには届いてほしいと思っているからね
タキ:その際の使い心地は考慮しないのでしょうか。
プミ:なるほど。考慮しない
タキ:なるほどーw
プミ:時計にあう人が、みつけてくれるだろう。芸術ってそういう自己が出た
ものでしょ?
タキ:ということは、相手も職人であることを前提としているわけですね。
プミ:いや、職人ってわけでなくて。それは、どんな人にあうかは分からない
んじゃない?つくった本人には。
タキ:なるほど。だから自分の精一杯でつくって、それを誰が買うかはわから
ない、ということですね。
プミ:うん。それはね「これは、すごい歯車をつかってるんだよ」とか、分か
る人に手に取ってもらってもいいし、単に「手首にぴったり合うね」と
言って、喜んでくれるのもいいし。
書かれたものは作者の手を離れるので、あとはどうしようもないよね。
という考えです。そこに時計があるだけだよね
タキ:なるほど、凄い納得しました。これは職人だ
プミ:それが、歴史に名を刻む時計であってほしい
イコ:似てるような似てないようなw
プミ:ほんとねーw
プミ:そんな時計の見方が、まあいえば、本の多様な解釈ってことだと思って
る
イコ:何に重きを置くかの違いはあるんでしょう。おれは時計の「時計をこえ
る何か」に期待したいのかもな
プミ:時計を作ったのに、電話機能があるとかw
イコ:ww
プミ:ちがうね電話ってすでにあるものだからね
イコ:別に小説と音楽をクロスオーバーさせたいとか、そういう欲求ではない
んですけどね
プミ:うん。わかるよ。たとえ悪しすまん。
イコ:それが時計であっても、今までの時計の概念にはまらないもの。そのた
めにもちろん、ものすごい歯車もできれば使いたいけど、逆にすごく粗
い歯車でも、既存の時計観をぶっ壊すのであればアリ
タキ:針がないのに時間がわかる、とかですかw
イコ:そうそう、変なのもアリだね
プミ:よくわかります。
タキ:なんか、針からデジタルの移行がそんな感じだったのかなと考えます。
イコ:ぶっ壊さなくても、とにかく自分なりの「時計の概念」を見つける。そ
れがおれの文学を追及する態度です
プミ:納得!
タキ:納得です。
プミ:おもしろいねー、こんなに違うんだものなみんな
イコ:ですねー
タキ:ほんと勉強になりました。これは、周りの人と話してたのでは絶対に得
られないです
プミ:ところで、いつも仕事のために起きる目ざましが鳴ったよ(※6:20)
イコ:いやーなんで寝ないんでしょうね。イベントに参加をはじめたときは、
眠かったんだけどw
タキ:ですよねw
プミ:でもね。もうここまできたら、12時間、やりたい。
タキ:あと30ぷんw 僕はかまいませんよw
(中略)
プミ:(※直前の会話:東浩紀が部数主義であるとの話を受けて)あ、そうな
んだ。
タキ:完全にそうですw
タキ:完全には、語弊があるかw
プミ:へー、思想地図β、読んでるんだよね。
タキ:あ、持ってます。冒頭らへんまでしか読んでませんがw
イコ:オリコン信奉主義者みたいだなww
プミ:wwww
タキ:東氏は僕と同じ考えで、人々に影響力を持って初めて意味があるとしま
すねw
イコ:ヒットチャートなどひとつの指標にすぎないわけだがw あー、そうい
うことかー>影響力
タキ:そうなんですね。彼は日本を変えようとしています。
プミ:それで部数なのね。指標としての影響力の
タキ:それで、日本人は祭り体質で、祭りがないと動かない。そういう意味で
の気運をつくるための部数が思想には必要だと言っていますね。
イコ:多くの人の目にふれるってことね
プミ:納得。
タキ:そうですね。僕も同じ考えです。
イコ:ふれるか、ふれないかでいえば、たしかにふれた方がいい。それは同意
だ。
プミ:影響力を考えるならね(僕は考えないからなあ、それはゼロはいやだ
よ)。あ、でも目に触れると言う意味では多いほうがいいか
イコ:ですよ。やっぱし
タキ:職人肌は素晴らしいです。
プミ:いえいえ、理想は高いが追いついてないw
イコ:世間がそれを読んで議論に目覚めれば、それは素晴らしいでしょう。賛
成であれ反対であれ、考えることが重要だし、学問の振興にもつながる
タキ:そうですね。
ぼくは、都青少年育成条例から、こういう思想を読むようになったんで
す。
今まで、なんとなく生きてきたけど、こういう自分は明らかに反対のも
のがあっても、何の知識もなくて、何の自分言葉もなければ、なされる
が、ままだ、と思いました。
プミ:すばらしいことだと思います。そういう前向きなというか、行動を起こ
したくて武装するというか、そういうのは、さっき僕が言った、歴史を
知るってのと一緒だと思うよ。
イコ:小説を書く、こうしてイベントに参加するってこと自体が前向きな行動
ですしね
タキ:ありがとうございます。そうですね。文脈なしでは世界を見れません
ね。頑張ります!w
(※中略 エンディングへ)
プミ:12時間達成!!(※7:03)
イコ:おお
イコ:おつかれさまです。おれは途中抜けてたけどw
タキ:おつかれさまでしたーw
プミ:しかし、イコさんはサッカー抜けw 僕は途中黙ってたので、フル参戦
はタキートンさんだけなのだ! 今回のMVPです
イコ:お二人、よく続きましたねw まさか3時のログインで、まだやってる
とは思わなかった
タキ:お二人が僕のお話を聞いてくれたおかげですw
イコ:マンオブザマッチ
タキ:本当にありがとうございました。
(※中略)
プミ:っま、じゃあ、ということで、そろそろ、おしいですが、解散にします
か?
タキ:ですねー
イコ:はーい
プミ:では、今回はありがとうございました!お疲れ様でした=!
イコ:おつかれさまでしたー
タキ:ありがとうございました! お疲れさまでしたー。