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第2部 絲山秋子の「現実」と「非現実」

 

 

第1部より。→第1部 「ファンタジー」を核として読む 

 

 

イコ: ほなぼちぼち

第2部やりましょう

だいぽむ: うい

イコ: 「海の仙人」って小説は、今までの二時間半で語りつくせたとは、到底思いません

クルマがいっぱい出てくるところとか

土地へのこだわりとか

イコ: まだまだ語れるところはあると思います

ここはまだ語りたいな、とか、問題提起したいところがあれば、教えてください

緋雪: 元々、ファンタジーについて語りたかったので、満足したww あとは作者自身について少し学びたい

緋雪: レジュメにも書いてある通りに。

イコ: 先ほどちぇまざきさんからメッセージをいただきました

こんな意見もあるということで、少し紹介しましょう

 

ちぇまざき: 『あれはなァ。「個人主義」が成熟してからそれ以降の世界って感じだなァ。自由と孤独の共存。あとは、「非現実感」が登場することに何の悪びれもないってことに驚きだな。まぁあんまり好きじゃないよおれは。(ホントは好きな箇所もいっぱいあるんだけどね)

『絲山秋子「海の仙人」。ファンタジーの存在の語りはそこそこに、女の子との出会いの描写ばかり。どうなのそれ。』

『フィクションに畏敬の念がないっていうのは、現実に対してゾンザイな付き合い方をしてるのと同じじゃないの。』

 

だいぽむ: 攻撃的だねw

aya_kumo: なかなかにw

緋雪: ノンフィクション重視な考えだからw

イコ: たしかに絲山さんは、非現実を出すのに悪びれはないんすよ

緋雪: それないだろって思うときはあるね~

でも違和感あんまりないんだよな~

 

※ここで三の三の六が加わる。

 

だいぽむ: こんばんは

緋雪: こんばんは~、おいでませ~

aya_kumo: こんばんは~

イコ: こんばんは、飛び入り参加の三の三の六さんです

三の三の六: こんばんは

小泉机: こんばんは~

三の三の六: よろしくお願いします

aya_kumo: よろしくお願いします。

イコ: 三の三の六さん、読書会は傍聴ですか?それとも参加されますか?

三の三の六: そうですね。参加で。

イコ: よし来たww

    

 

【「非現実」の挿入と「自然さ」~絲山作品の世界】

イコ:さて続けていきましょうか

この作家は、「沖で待つ」でも幽霊を出した

わりと当たり前に、「非現実」を挿入する

緋雪: 登場人物もびっくりしないで、非現実をすぐ受け入れるんだよね

イコ: そうですね

絲山さんは、常識的に目に見え、そこにあるとされる物質的なものから、少しだけ解放された作家という印象がある

マジックリアリスムとまでは言わんけどね

三の三の六: 「非現実」ということでいうと、ファンタジーのような物質に限らず

『逃亡くそたわけ』で見せた、「20エレのリンネルがどうのこうの」という、呪文が頭の中で反芻されるのも印象的でした。

だいぽむ: この非現実は魅力だと感じるけどねぇ

イコ: 逃亡くそたわけの反復は見事でしたね

緋雪: 「逃亡~」に関しては薬での幻覚もあってだから、より呪文的で良かった

イコ: おれはというと、ファンタジーが非現実だろうと、ただのオッサンであろうと、別にかまわなくなってしまった

小泉さんもたしかそんなことをおっしゃっていましたね

三の三の六: たしかに、ファンタジーは、どこにでもいるおっさんですね。

aya_kumo: ファンタジーにはある程度現実味を覚えるから不思議です。

卵になって寝るときも違和感なかったw

イコ: 異分子なんだけど、河野たちの前では重力にしたがっているからね

卵になって寝るところは、少しクサいと感じたけどね

「クサい」というのは、作られすぎたものの発する、文学クサさというようなものね

緋雪: オイラは嫌いじゃないけどね~

だいぽむ: それならおれは落雷2発のほうが・・・w

三の三の六: でもそのクサさというのは、村上春樹などがやるような「いかにもな不思議」ではなく、すとんと納得できるような持って生き方ですよね。卵、うん、そりゃなるよね。みたいな。

イコ: ふむ、おれも作品の評価を下げるにはいたりませんでしたw

小泉机: でも、明日になったら卵以外の何かで寝てても不思議じゃない、っていうアバウトさで僕はファンタジーと接したいんですよ。

緋雪: ああ、卵になるよなあ、ぐらいでしたね。落雷2発も、こういう人が居ても良いんじゃないかなと

イコ: なるほどね、じゃファンタジーはおっさんじゃなくてもかまわない?>小泉さん

aya_kumo: 卵に関しては何の疑問も感じませんでした(苦笑)

イコ: 落雷2発は、自然に受け止めたよ>だいぽむ

そういうことがあるかもしれない

という具合だ。まず「宝くじ3億円」で始まるわけだから、もうそこをありのまま納得しないと、ただ酷い筋立ての小説になりかねないw

小泉机: ファンタジーについてあんまり頑なに考えたくないというか、やっぱりファンタジーがいなくてもこの物語は成立するんじゃないか、っていう思いがあるんですよね。

いてくれなきゃ困るんだけども。

だいぽむ: w

小泉机: 結局このおっさんがいたからこそ、こうなったみたいな流れはないわけで

イコ: そうだね、そのへんが「うっとうしくない」感じにつながってる

だいぽむ: ストーリーには関与しないね

緋雪: 自然さにつながってきますね~

小泉机: イコさんの前の話を見て猫みたいだな、と

イコ: 神様のくせに飯は食うんですよねw

aya_kumo: 酒も飲みますしねw

緋雪: でも居候さが嫌味じゃないんだよな~

イコ: 「猫」のイメージほど気高くもないけどねw 自由ではある

三の三の六: 宝くじ、神様、ファンタジー、ロードムービー、など手あかまみれの言葉やジャンルをこうも新鮮に書けたところが、つくづくすごいなぁと思います。

イコ: 最前のちぇまざきさんの言い方は、うなずけるところもあるが、承服しかねるところも大きい

小泉机: 全部自然に感じます。ファンタジーって、正直、物語の盛り上げ役として無理に入れたと見てもおかしくないのに、全然そう思えない。

イコ: 自然だね。ただ、おれがさっき言った「文学クサい」感じは、やっぱぬぐえないかな

揃いも揃って、ずいぶん都会的な感性の持ち主に見えてしまうんだよな、この人たち

  この軽妙洒脱な雰囲気、読みやすさ、人物の関係性、分かる。ぜんぶ分かるし伝わってくるんだけど、決定的なところで地に足がつかない感じも残るのが絲山さんの小説だ

三の三の六: そこがまた魅力的ですね。

緋雪: 彼女自体があまり地についていないもんね

まあ、魅力的だけどもw

イコ: そういう人だと理解しているし、それも魅力的だと思うけれど

まだ作家の気づかぬところに幅があるんじゃないだろうかとも思う

三の三の六: たとえば『ニート』に所収されている「愛なんかいらねぇー」はどうですか。あの作品は、この作家にとっての幅にはなりませんか。

イコ: なりませんね

三の三の六: なるほど・・・

緋雪: あれは絲山らしさが出過ぎている気がしますよ~

イコ: 描写がどぎついから「うっ」となりますが、やはり地に足着かぬ感じがある。この作家には、日常言語から逸脱する「文学の言葉」があって、それにまといつかれているような気すら受ける

緋雪: 何かに「文学」を書かされている感があるんだよなあ

イコ: 身も蓋もない言い方をすると、「カッコつけている」。

三の三の六: それとはまた別に、「文学の言葉」を使わずしての小説を求めるということでしょうか。

イコ: 絲山秋子はもちろん指折りに好きな作家です。しかしおれは、このスタイルを盲信しません。「血」を書くのもまた、大切なことじゃないかと思う

イコ: この小説もそうですが、絲山作品の人物には、血が流れている感覚が薄い。

三の三の六: たしかに。

イコ: 絲山さん自身が、そういう人間観を育んできたということでもあるけれど

そうじゃないものを、作家自身が否定して生きてきたようにも思える

これ以上言うのは無粋かなwやめておきます

 

(文:叢雲綺)