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『Li-tweet』(2013夏号)創作合評その1

 

イコ: じゃあ始めますか。今日は

 

イコ「セキレイの心」

日居「力強く暴力的な愚か者によるフォリア」

小野寺「酒茶漬けの味」

 

です。

この順番で行きます! 各作品45分を目安に。

 

 

 

【イコ「セキレイの心」】

→作品はこちらから。

 

ふかまち: イコさんのセキレイの心ですがセキレイって鳥の種類のことですか?

イコ: そのつもりで書きましたがどう受け取っていただいてもいいです。

ふかまち: なるほど了解です。

イコ: 感想用意してこられた方はどうぞ。

 

ふかまち:

 すべての歌にいえるのは予定調和というか、想像できる範疇をこえた語彙がひとつとしてないのに、わかりやすいスッと情景が浮かぶ歌でもないと思いました。

 

小野寺:

 さまざまな詩的な言葉が縦横に用いられて自然との一体感が巧く表現されていると思いました。専門的な良否は別にして。そういったものはよくわからないです。

 

あんな:

 漢字、ひらがなの配分が心地よく、うまいと思いました。読んでいて清涼感がありました。とはいえ、写真が最初にきていることによって最初にイメージが確定されてしまうかな、というのも思いました。

 

6(事前提出)

『セキレイの心』

 短歌を評するとはどういうことなのか分からなくなり、近くにあった塚本邦雄の本を開いてみたけど余計に判らなくなってしまった。

 詠み手は山陰地方の豊かな風景や自然の音を、この短歌のなかに吹き込んでおり、うつくしい写真と共に読むことができるから作者が詠んだ時の心象を追体験できるようでもあった。写真がなければ意味が伝わりにくい歌もあったと感じるので写真は掲載してもらいとてもよかったと思う。

 句を実際に読んでみると一色で描かれた絵ではなく、屈折やつまずきを短歌のなかに取り入れているから「転調」が小気味よく生まれており、31文字のなかでそういったものを取り込んでいるのは評価したい。

 次に詠むときには古語的なものを使わずに現代語で詠んでほしいと思った。

 

イコ: ありがとうございます。なんだか意見が分かれましたね。

小野寺: あー、私はぜんぜん自信ないです。

ふかまち: わたしもです。

小野寺: 後輩にプロ歌人がいまして、その人の歌集はやや甘いと思いましたが、イコさんのは感じなかった。かといってイコさんがプロ以上なんだろうか断じられず。

ふかまち: 一番もったいないとおもったのが、無上泉の写真の下の歌。「湧きいづる 水の落つるに」と続きますが、写真で湧き水が落ちてゆくイメージを読み手に与えられたはずなので「湧きいづる」の次は写真ではイメージできないもの、水の冷たさその日の気候などを歌にこめたほうが効果的かなと思いました。

イコ: 写真が必要かどうか、という点に、何人かの方が言及されていますね。

ふかまち: ですね。

イコ: 昨日うさぎさんが感想くださったんですが、まず写真要らないんじゃないか、それがあると、なんだか読み手に正解を与えてしまう気がする、と言っていただきました。そのあと、文章をつけて旅行記のように表現するともっとよかったのではと言われました。それじゃ歌集じゃないな、と悔しかったです(笑)

ふかまち: ときたま歌のあとに散文がつづく作品があるのでそうゆうふうにしてもよかったかも。

小野寺: 特にサイトでは写真が大きく文字が小さいのでキャプションのようです。記事の方(『Li-tweet』文庫版)が縦書きですごくいい感じです。

あんな: 写真を見ながら詠んだのか、それとも後から写真をつけたのかちょっと気になります。

イコ: その場所で詠みました。写真は後付けです。その場所に出かけて座りこんで、携帯電話のメモ帳の画面を見ながら、一首あたり三十分くらいうんうん唸って作りました。

あんな: 三十分!

ふかまち: 三十分!! すごい。

イコ: 長い?

ふかまち: 長いっすね! 集中力すごい。

イコ: すぐ言葉が出ないので……。

ふかまち: ああ!

小野寺: 良く練られていると思います。

小野寺: 細かいところでいうと『~27の暮れ』の句は正直に年齢を明かすこともないだろうにと思いました。

ふかまち: けどせっかくこの形にしたのだから、歌と写真でひとつの作品が出来上がっちゃうんだぜ新しいだろうみたいに堂々とできるようになにか工夫がほしい、写真にも歌にも。

あんな: ふかまちさんの言うように写真、歌がそれぞれ自立した何かであれば、そこのところは納得できるものになったんですかね。(表現がかぶらない、っていう意味で)

 

イコ:

・想像できる範疇をこえた語彙がない

・情景が浮かびづらい

・自然との一体感が表現されている

・漢字、ひらがなの配分が心地よい

・写真はイメージを固定してしまう→写真で表現されないものを表現しては?

・現代語で詠んでほしい

・甘くない?

 

小野寺: 甘くないというのは孤独であり自立しているという意味です。

イコ: 孤独であり、自立している、というのを、もう少し詳しく……。

小野寺: えー、ホント、漠然としているんですけど何か吹っ切れているような印象を受けました。

イコ: なるほど、甘い、というのは、自我にとらわれている、というような感じでしょうか?

小野寺: そうですね。短歌を通じて何かを訴えるような、そういうのは感じなかったから心地よかったです。

イコ: 自分は短歌初挑戦だったので、これでいいんかね、という思いがずっとあったんですけど、百人一首が好きなので、技巧には凝るようにしていました。そのへんには気がついてもらえたのかどうか、聞いてみたいです……。

ふかまち: 百人一首苦手で技巧とかわからんです。

イコ: 技巧って、掛け言葉とか縁語とか、色々あるんですけど、今回自分が重視したのは音感でした。

小野寺: それは気がつかなかったです。

イコ: 自分で説明するのもアレですけど、勝手に気に入っているのが、

『峡谷に 遊ぶ子の聲 こだまする 苔生す樹下に 赤帽の地蔵』

 です。「こ」をいっぱい使って、音が「こだま」するといいな、と思って作りました。

ふかまち: なるほど、「こ」がいっぱいで、音読するとここちよいです。気がつきませんでした。

イコ: そういうのに気がつかせる、興味をもたせるような工夫が必要、ということですね!

あんな: わたしは『チョコかじり』が好きです。

イコ: うさぎさんも、それを褒めてくれました。

あんな: これが一番異質だと思う。他のは響きがいいんだけど、悪く言うと綺麗にまとまりすぎてる感があるのかもしれない。

ふかまち: わかります、あんなさん。

 

イコ:

・吹っ切れている感じがする。

・技巧には気がつかないだろう。

・チョコをかじるのは異質

・きれいにまとまりすぎ?

 

小野寺: やっぱこれでしょう。

『しじま川を セキレイの心 進み行けば 砂州に展けし 天の足跡』

イコ: それは誰にも褒めてもらってません(笑)

小野寺: でも表題作だから自信作でしょう。

イコ: そうですね、いちばん時間かかりました。そのぶん愛着があります。小野寺さんは、どういう理由でこれをあげられましたか?

小野寺: やはり絵的にきれいだと。それから「セキレイの心」というフレーズが好きですね。写真との関連もないですし。

イコ: 川の写真撮るの忘れたんです(笑)でもそれが逆によかった?

小野寺: そうかも。そう言われればこの歌もサ行で固められてますね。

イコ: (笑)気づいてもらえた。

緑川: こんばんは!

イコ: こんばんはー!

小野寺: こんばんは。

ふかまち: こんばんは。

イコ: 良いときに、緑川さんの感想をうかがいたいです。

緑川: はい。

イコ: 他に、この歌は好きとか、この歌は嫌いとか、ありますか? みなさん。

ふかまち: わたしはやっぱり『チョコ』と『湧きいづる』ですね

イコ: 『チョコ』が好きで、『湧きいづる』が写真との関連で気になったってことですね。

ふかまち: そうですね!

イコ: ありがとうございます。他になければ、次に行こうと思います。

小野寺: あ、すみません。『しじま川』ですが、字余りが一首に二か所はちょっと多い気もします。

イコ: なるほど。そのへんのルールはまだよく分かってないんですけど、リズムが悪くならないように気をつけてみようと思います。

小野寺: では今後とも短歌の道の精進を。

イコ: はい(笑)

小野寺: って緑川さんの感想は?

緑川: 『しじま川』と、次の『大鬼のカゲ』かな。好きなのは。

小野寺: ほらほら。

イコ: 『しじま川』好評? うれしー。

緑川: 最後の5首はちょっと平凡な気も。

イコ: 平凡(笑)かなしー。

緑川: 平凡というか、すんなりし過ぎてる感じかな。

イコ: なるほど。

緑川: もうちょっと凝った方がイコさんらしいかも。

イコ: 妻は『27の暮れ』がいいって言ってました。(この歌に出てくる)三人を妻が知ってるからかなぁ(笑)

緑川: なるほど。

イコ: 凝ってるイメージなんですね(笑)

緑川: 言葉がですね。ひっかかりがあった方がいいかなと。一つの句と句の接続がですね、最後の方はすんなりいっちゃてる感じなので、そうでない『しじま川』とかの方が好きです。

イコ: ありがとうございます。

イコ: みなさんありがとうございました。小説より、吹っ切れた気持ちで臨めた合評でした。小説だと、うしろで地団駄踏んだりきゃあきゃあしながら見てるから(笑)

ふかまち: (笑)

 

 

 

【日居月諸「力強く暴力的な愚か者によるフォリア」】

→作品はこちらから。

 

イコ: 感想ある方はどうぞ!

 

イコ:

 小野寺作品もそうだったけれど、冒頭がすばらしいと思う。「dance」と「dunce」の違いから入り、主人公「俺」をひとりの特別な愚か者に仕立て上げている。さらに「俺」は、ベッカムの小論文を書いているらしい。なんだそれ、なんでベッカムなんだ、本当に載ってるし、と爆笑。

 ベッカム史のパートは、出だしがどれも秀逸で、先を読みたくさせられる。よく工夫されていると思う。けれどこの主人公は「小論文」という言葉をはき違えているように思った。

 レイカという人物は最後までどういう人なんだかよく分からなかった。レイカと俺のかわす冗談は、あまりセンスのよいものとは思えず、退屈さの奥に何かが覗いてくればよいのだけれど、最後までただ滑っているだけのようにしか思えなかった。

 興味深いのは、たびたび出てくる注釈が、ベッカムパートだけでなく、「俺」パートにも表れることである。おかげで小論文(?)と小説を切り替えて読んでいた自分としては、根底を突き崩されたようだった。そういう試みについては、非常に現代的で面白いと思うのだけれど、まだ解釈をもてずにいるので、どのようにみなさんがとらえているか、意見をうかがいたい。

 読み終わった後に、ベッカムパートと「俺」パートが通底器的(リョサ)に交互に出てくる効果について、もう一度考えなければならないと思った。

 

ふかまち:

 出だしからすごい、うまいとおもわせてくれました。

 

6(事前提出)

『力強く暴力的な愚か者によるフォリア』

 ドゥンスのパート、ベッカムのパートが順番に出てきて、それぞれのパートが面白い。

 文体や雰囲気も区別ができていて、両パートがしっかりと立っていたと思う。人間関係の描き方や中心とする人物の個性の出し方などが上手く参考になった。また小エピソード(ゾウリムシの話など)も光っており、小説として間延びしていた印象は受けない。

 しかしどうしてこの二つをつなげたのか、については良く判らなかった。

 とくにベッカムのパートが伝記的な語り口で、ベッカムのプレーヤーとしての半生を詳述されて読み応えがあり面白かったのだが「なぜベッカム?」という疑問が先にたった。

「君とハナシがしたい」という特集との関連についても、読んでいて気が付かなかった。あと、グルークとグリークと表記ゆれが起こっていませんか。別人物か。

 

小野寺:

 宣伝文でも書いたのですがベッカムパートが彼の半生を描いたのに比較して俺のパートは青春の瞬間を描いたものでありこの対比が非常に広がりを見せていたと思う。ベッカムに関してはわかりやすく申し分ないと思うが、俺のパートに関してはダンスの描写などが欲しいと思った。日居さんなら書けるはず。しかし「俺」パートの終わり方のもやもや感はマックス無限大!

 

あんな:

 所々に散りばめられた仕掛け? に面白さを感じたけれど、それぞれが絡みあって面白くなっていくというのは感じられなかった。みなさんと同じようになぜベッカム? となったけど、そのベッカムパートが面白いものだからどんどん読めたけど、最後読み終わった感想はやっぱベッカムすげぇだった。もっと地の小説の部分も読みたかった。

 

イコ:

・冒頭がすばらしい。

・出だしからすごい、うまいと思った。

・これ小論文じゃないよね?

・レイカについて。

・注釈の存在について。

・それぞれのパートが面白い。

・人間関係の描き方、個性の出し方がうまい。

・この二つのパートをどうしてつなげたのか。「なぜベッカム?」

・対比が広がりを見せていた。

・ダンスの描写がほしい。日居さんなら書ける!

・絡み合う面白さはなかった。

・俺パートもやもやマックス無限大。

 

小野寺: まあ言っていいんだか悪いんだか本人いないから言うけど、ほんとは結末があったんだけど、私が途中にケチをつけたら、もう思い切りバッサリしちゃったんですよ。

イコ: 結末については気になるところです。自分のもっている版では、ベッカムパートで終わっているんですけど。これに続きがあったと。

小野寺: ちょっと前半で細部にこだわり過ぎてバテた感じがする。

イコ: 細部には、みなさん肯定的なご意見が続いていますね。

 

緑川:

 本編がもっと独立性が高ければよかったと思います。あまりストーリーらしいストーリーが感じられず、登場人物たちの感情にも深く入っていけなかったかも。ベッカムパートの方が面白かったかな、私は。面白かったというか、ベッカムパートに力点があった気がする。日居さんがこちらの方に向いているのかなとさえ思った。

 

小野寺: でもベッカムパートは巧いけれどもスポーツライターの文章の域を脱しているようでもないでしょう。

緑川: ああ、そうですね、小野寺さん。しかし、それらしさは十分に感じられました。ほんとに域を脱していればすごいですよ。

小野寺: 日居さんがみえた。

日居月諸: かえったぜ。

イコ: かえったか。

ふかまち: おかえりなさいませー。

小野寺: 日居さん、「俺」パートがもともと結末があったことを告白してしまいましたが良かったでしょうか?

日居月諸: かまいませんよ。

小野寺: ちょっとお、やり過ぎです。

日居月諸: 元々これにもう一パートあったんだけど、バッサリ省きましたね。「結末」だと思うとまとまっちゃってつまんなくなっちゃった。初めからベッカムパートとドゥンスパートをまとめて書いていった方が良かったと思います。

小野寺: 実はベッカムも真実そのままではないんですよね。

イコ: ベッカムはどこまで実際なのか気になりました。いやフィクションだよなって。

日居月諸: 大体ゴシップレベルでは書かれてることです。というか、それの寄せ集めですね。まぁ全部ベッカムにまつわる話だからおもしろけりゃ載せようと。

イコ: ウィルキンソンとのやりとりなど、日居さんの創作かと思って読みました。

日居月諸: ウィルキンソンは元のCMがあって、やりとりもあるんですか、水増しはしてます。

日居月諸:

http://www.youtube.com/watch?v=Pc5gHm8Po20

↑が元ネタ。滅茶苦茶いいCMですよ、ほんと。

イコ: なるほど。

緑川: 6さんも言われてますけど、なぜ二つのパートに分けられたのか、分からなかった。

イコ: ですね、この二つの関連性を、見いだせない。ゾウリムシの生殖もおもしろかったんですけど、ゾウリムシとベッカム、絡んでほしかったなぁ。

日居月諸: ベッカムとドゥンス、二つはつながるはずだったんだけどつながんなかった、ってところです。ニッタがあまりにも出てこなかった。彼がもっとキーパーソンになるはずだったんだけど。

緑川: 兄貴の登場も、最初の方にちょっと語られるだけで、それっきりだったかな。

小野寺: たぶん上昇志向だと思うんですね。レイカもニッタも「俺」も青春らしい上昇志向が強いじゃないですか。その象徴がベッカムだと思ったのです。

イコ: 青春らしい上昇志向が、あまり読みとれませんでした。どのあたりにあらわれてますか?

小野寺: 「俺」はダンスのプロにあこがれ、レイカは勉強ばかり考えてる。ニッタはチームを離れて海外選手に憧れる、そういったところです。

イコ: なるほど。

日居月諸: それと「小論文」なんですが、確かにこれは小論文ではない。スポーツコラムのつもりで書いてます。想定としてはニッタが将来大人になった時に書いた文章にするつもりだったんです。

イコ: 結局はそうならず、「小論文」という言葉が残ってしまったんですね。

イコ: ひとつ興味深いところがあったんですけど、ベッカムパートにあらわれていたはずの注釈が、途中、ドゥンスパートにも出てくるんですよね。この注釈が謎で。コラムやら論文やらで、注釈が出るのは分かる。そういうルールだと思って読んでいたんですけど、小説パートだと思っていた部分に、「なんとなくクリスタル」やピンチョンみたいに注釈が出る。これはなぜだろうと。

緑川: 混ざっちゃったのかな、と思ってましたけど。確かに二つのパートの独立性は高いんですけど、そこは、やり方が混ざったのかなと。

イコ: その、やり方が混ざっているところが、すごく現代的やな、と思いました。作者が外側にいるのが明示されて、ぜんぶひっくるめて一種の研究報告になってるみたいな。元々ベッカムパートは作中作の位置づけで、注釈も作品内の人物によるものだと思ったので。

日居月諸: 本当は欲張ってゾウリムシにまつわる研究の現状も書こうと思ったんですけどね、色々と時間がなかった。ゾウリムシの接合の話を書きましたけど、接合して若返るのはともかく、何が若返らせてるのかはまだ分かんないみたいです。それって面白いなあと。

緑川: で、それが、作品全体の中でどういう位置付けなのかよく分からなかったり。たしかに面白いですけど。他にも何ヶ所かあったかな。この部分が後でどう繋がってくるんだろうと思っていたら、それっきりだったりとか。

日居月諸: まぁ面白いと思ったものはなんでも詰め込もうと思った小説です。後悔があるなら詰め込み切れなかったほうに悔いがある。

緑川: 純文学的なやり方とは言えると思います。ただ、もやもや感は残ります。

小野寺: やはり最後で回収をけっこうしているんだけど切ってしまったのが祟っています。

日居月諸: どちらかというとベッカムやドゥンスではなく私の脳の発展過程を書こうとしたといえるでしょう(それが読んで面白いかはともかく)

イコ: 日居さんの脳?

緑川: 脳の発展過程を言葉で? というか文章で?

小野寺: 確かに、少し感じましたよ。ポストモダン的な部分。

日居月諸: 否応なく色んなものが脳の中に入ってくるんですよ、で、それがこびりつく。何かを思い出すたびに何かがくっついてくる。明らかにかけ離れてるものなのに。じゃあ同じ土台に載せてどうなるか化学実験してみようぜ、ってな具合。小島信夫とかリチャードパワーズはそんなことをやってると思います。

イコ: 確かに、詰め込まれた細部の面白さには言及がありましたが、化学反応を、もう少し見たかったという感じでしょうか。

日居月諸: そうですね。フラスコやらビーカーやらが足りてなかったというわけです。

小野寺: 前半部分で細部に凝り過ぎて途中で展開しづらくなったということですかね。

緑川: あぁ、なるほど。言われてみれば。

小野寺: リアリズム小説として考えると設定が妙です。ダンスの綴りを間違える「俺」の感覚はインテリっぽいし。

緑川: 俺、あちこちでインテリっぽいですね。

イコ: 他の方はどうですか。好きなところ、考えてみたいところなど。

あんな: 日居さんて普段から知識が豊富な人だなぁ~と思ってたので、色々納得しました。化学実験がもう少し整理された完成形を読んでみたい。

イコ: あー、そうですね、未完成な感じ、あちこちにまだ枝が伸びていきそうな感じは受けます。レイカをもっと女性として印象的に書いてほしいす。

小野寺: そういえば6さんの指摘のグルーク、十回も読んでるのに気付かなかった。

イコ: グルークとグリークは、別人物かと思って、だとしたらかなりすごいぞ、難解だぞ、とひやひやしながら読みました。

小野寺: グルークの描き方は良かったですよ。印象に残る。

緑川: どの方向に、どのようなバランスで枝を伸ばしていくかでセンスが問われます。

小野寺: グルーク物語書いてほしいな。

緑川: スコトゥス物語も読んでみたいです。

日居月諸: いっそ二つの物語じゃなくて三つにすればよかったかもしれませんね。グルーク物語、ベッカム物語、ドゥンス物語。それならもっとかけたんですよ、ニッタやらなにやら(笑)

小野寺: スコトゥスもいれて四つ。

イコ: 6さんが、オウンゴールに近いっておっしゃってたけど、6さんの灰色の陽も小野寺さんに近い感じがしたし、なんか文芸部内に小野寺さんを中心とする渦が発生してる気がする。

ふかまち: わたしはこの作品のどこにつっこみをいれればいいか分かりませんでした、それくらい練られてるというか、すべての文章が必要不可欠なかんじで。ひとついうならイコさんと同じくレイカにもっと癖や匂などをつけてあげれば立体感がでたんじゃないかなと。

緑川: リアリティというか、それらしさ。

小野寺: レイカに色をつけると作者がほれてしまいますよ。

イコ: 作者が惚れてまうくらいに書いてほしいなぁ(笑)

緑川: ちょっと類型的な感がなきしにもあらずですから、レイカ。

ふかまち: 緑川さんが言ったのと同じ感じですね。

日居月諸: 滅茶苦茶可愛い子なら書けるんですけどね。謎めいた子は書けないんですよ。

イコ: (笑)

小野寺: でもポップを目差したのはおおいに評価したいです!

イコ: そうですね、いつになくポップでした。

緑川: 好きな子をぞんぶんに書かれれば良いかと。

日居月諸: ポップを大衆迎合じゃなくて大衆参加としてとらえたいもんです。

緑川: エピソードのところどころが、作品世界を離れてフィクショナルなんですよ。グリークもスコトゥスも。で、離陸に成功したのがベッカム。独立したパートに成長した。グリークもスコトゥスも、その可能性があったのかも。

日居月諸: ハナからベッカムには独立したストーリーがありますからね。ある意味で、私の手元には引きつけきれなかったということでしょう。いったん着陸したけど、あっという間に離陸しちゃった(笑)

 

 

 

【小野寺那仁「酒茶漬けの味」】

→作品はこちらから。

 

イコ: 感想どうぞ。

 

イコ:

 冒頭から二つの謎が提示され、この世界に対する興味が湧くように仕掛けられている。

 ひとつは酒茶漬け事件。ひとつは泥棒事件。簡単に解決されない謎を冒頭に提示することで、細部を読みこもうとする読者の自発的な意欲をかき立てるし、寮の信用ならない雰囲気を醸し出すことにも成功している。

 冒頭、金を盗まれたと喚き立てる劉の長台詞によって、この世界のもつ独特のリズムにハマってしまった。冒頭に会話があることの良さというものを考えてしまう。話に入りこみやすい。

 このような寮の雰囲気は、現代にもあるよなあ、というのを感じながら読んでいた。数年前まで自分が通っていた地方大学の学生寮が、まさにこんな感じで、後輩は初日から「通過儀礼」を迫られ、小さな、しかし絶対的なヒエラルキーの中に組みこまれる。細部もよく書きこまれており、マジシャンのベッドが汗ばんでいるところなど、臭いまで伝わって来るようで、ものすごくリアルな小説だと感じた。

 文体のユニークさが、さらに雰囲気を醸し出す。

『めりめりめりとゆっくりと吉野の身体は壁に吸い込まれていき、やがて隣の部屋にまで壁を抜けて侵入していった。』

 大爆笑しました。なんですかこれ。なんでここだけスローモーションな感じなんですか。でもこの小説世界においては、こんなアホな文章も特別に許されてしまう、そんな気がしました。

 総じて、たいへんおもしろい作品だった。6さんの希望と違うんだけれども、この作品を、もっと長く読みたいと思う。二十五枚の欠落がもったいない。二百~三百枚くらいあれば、さらにおもしろく読めると思う。無駄っぽいエピソードも大事そうなエピソードもごちゃごちゃに織り交ぜ、この寮の人々の生態を、徹底的に描きまくってほしい。意味はなくても文学であると思う。

 

小野寺: 意味はないですか()

 

緑川:

 作品の舞台には、ありそうでなさそうで、でもあるかもといった感じの不思議な魅力があった。枚数の割に登場人物が多すぎたかも。イコさんの大爆笑の場面、私も同感です。いきなりコミカルでしたから。

 文章的なことで言えばいつもの小野寺節が出てます。ひとつの文章に情報を詰め込みすぎるとか。たとえば、『禿頭の定年退職した老人の寮監は言う』とか。いきなり文章が飛ぶとか。たとえば『「俺たち居場所がないなあ」私たちは近くの牛丼屋まで食べに行くことにした』とか。

 

6(事前提出)

『酒茶漬けの味』

 大学の寮の堕落した雰囲気を「酒茶漬け」という小道具で表現しているに面白みを感じました。莫言も『紅い高粱』で同じようなことをしていました。

 登場人物もキャラクターがしっかり作られていて、魅力的でした。熊南が何だかおかしくつぼでした。PDF5Pの童貞、包茎をめぐる一連の会話はそれ自体面白いものでしたが、誰がしゃべっているのかを脚本のように上に書いてしまうのはどうかと思いました。そこを頑張って書くところに小説の腕の見せ所があるような気がして。

 また文章や会話の面でこれまでの小野寺さんの作品よりも洗練されていたと思います。

 小野寺さんの作品に描かれる小さな世界と言うのは凡庸な世界でありながらもどこか(良い面での)虚構の雰囲気を湛えていて、そこが特長でもあるのではないかと今回の作品でも思いました。

 しかし『オウンゴール』にも感じましたがこれほどの長さが必要なのか、という疑問があります。たしかに個々のエピソードは面白いと思えなくもないのですがそれがあるとないとので小説の雰囲気を分けるかと考えた時に、これはなくてもいいのではないかいうものがある気がします。

 この長さによって保たれている雰囲気はあると思いますが、それぞれのエピソードが有機的に小説にからまってほしいと思いました。スケッチしていくことは大切ですがやはり物語を意識すると言うのも重要なことではないかと思います。

 

日居月諸:

 留学生の財布が盗まれるストーリーという基軸があるけれど、それを解決したところで寮生活が終わるわけでもない。彼らのろくでもない日常は続いていく。そんな散り散りになりそうで結局ならないという微妙な閉塞感があって、壊れそうで壊れない小野寺文体の特徴もあいまって、良い具合にグラグラしてる。毎度毎度小野寺さんの作品は細部がデカくてそれを全体がまとめきれない、けれどギリギリのところで破綻してない。

 そんなバランス取ろうと思ってなくても結局バランス取れちゃうところに相変わらずだなあ、という妙な安心感を覚えました。ただ、今回はちょっと魅力的な人物に欠けた気がする。嫌な人間しかいない感じがしますね。留学生がギリギリ。嫌なところがあるけれどなんか引き寄せられるっていう人物はいるもので。主人公を牽引してくれる人物がいない、あるいはそれを予定したはずなのに他の人物に埋もれてしまった、そんな感じがします。

 

あんな:

 小野寺さんの今までの作品に比べて全体的に小説の雰囲気が一貫していて世界に入っていきやすかった。私もこの作品はもう少し長くても良いのではと思った。登場人物が多いので、それぞれの人物を際立たせるにはもう少し枚数がないと難しいのかもしれない。あと、ところどころ表記などで気になることろがあった。6さんが言われている会話の部分や、一マス空けるところが空いてないところが、おしいと思った。

 

ふかまち:

『総じて、たいへんおもしろい作品だった。6さんの希望と違うんだけれども、この作品を、もっと長く読みたいと思う。二十五枚の欠落がもったいない。二百~三百枚くらいあれば、さらにおもしろく読めると思う。無駄っぽいエピソードも大事そうなエピソードもごちゃごちゃに織り交ぜ、この寮の人々の生態を、徹底的に描きまくってほしい。意味はなくても文学であると思う。』

 この意見と一緒で、物語の流れと関係なさそうな細かい部分も読ませる文章だったので長くても良かったかなって思いました。長い長い文章が続いてさいごに「あいつらはナチスだ」のひとことで落とし込めば言うことなしなんじゃないかな。

 

イコ: みなさんの意見がおもしろすぎてまとまらねぇ。

小野寺: あんなさんには読んでもらいたくないエロいシーンがたくさんあって申し訳ない。

ふかまち: あんなさんだけかーーい>小野寺さん

あんな: なんでーーーーーーーーー>小野寺さん

小野寺: ふかゆかさんはオッケーって前に言ってたじゃん。

イコ: わろた。

ふかまち: まあ、そうだけども。

緑川: 嫌な人間……ああ、なるほど。変な人ばかりだというのが私の読後の印象でした。

小野寺: 日居さん、あいかわらずいい読みだなあ。

イコ: 妻も今日読んだので感想貼っときます。

『すごーく雰囲気があって伝わって来る。大学の古風で実質の自由をともなわない「自治(笑)」のかんじ。でもここ何十年も存在してきたそれを今更書かないといけない理由は何?と思ってしまった』

小野寺: イコさんの奥さんもビニ本のくだりを読んだのか。あーあ。

イコ: 「別にそんなに……」と申しています。

日居月諸: 変な人間ばっかりで主人公が寮を出ちゃったらもう二度と会わないような人間しかいないんですよ。たとえば「ファナティック」で出てきたような腐れ縁だらけの友人関係は築けない気がするんです。

小野寺: それはですね。政治小説なんですね、これは。

イコ: ではまとめている間に小野寺さんに語ってもらいましょう(笑)

小野寺: エピソード的にカネを取られたとかいうのはいいんですよ。どうでも。権力が継承するのは熊南に反抗的な宇佐美であり、宇佐美に反抗的な吉野なんです。そういった権力のメカニズムを書こうとこの章では思いました。そういうのは現在の政治世界でも普遍的なのではないかと。権力にとって必要ないのは童貞&包茎組です。

日居月諸: でも剥き出しの権力ってノーガードじゃないですか、まずいですよ。

小野寺: ノーガードって?

日居月諸: あ、いやなんでもないです。

 

イコ:

・冒頭に謎が提示されるので興味が湧く。

・冒頭に会話があるのがよい。

・現代にもこういう雰囲気はある。

・臭いが伝わって来る。

・もっと長い方がいい←→もっと短くてもいいんじゃ?

・ありそうでなさそうで、でもあるかもという不思議な魅力。

・登場人物が多い。

・酒茶漬けが効いてる。

・キャラクターがしっかり作られている。←→魅力的な人物に欠けた。嫌な人間しかいない。

・脚本のように誰がしゃべってるのを書くのはちょっと……。

・洗練された小野寺節。

・エピソードを有機的に絡めて。←→意味のないことでもいいから細部を書いて「あいつらはナチスだ」で落とす!

・微妙な閉塞感、良い感じにグラグラ、破たんはしてない。

・雰囲気が一貫している、雰囲気があって伝わる。

・なんで今大学寮?

・会話や一マス空けがおしい。

 

緑川: 宇佐美に反抗的な吉野、というのは、ちょっと私は気づきませんでした。

小野寺: だから塚本がナチスと表現したのです。それが私にはわからない。

イコ: 政治少年は死んでしまっているので、読みとりづらいですね。

小野寺: ですねええ。文学青年でなければすぐにわかります! 理系は無理かも。これの欠落部分と合コン編で次書いてもいいですか。6さん日居さんには我慢してもらおう()

イコ: 合コン編(笑)今回、校正に時間をかけたんですか。文章がしっかりしているように思いました。

小野寺: いえ、それほど。ぼりぼり。

イコ: 今回、私的な題材を取り扱っておられるということでしたが、ひとりひとりの書き分けがよくできていると思いました。

日居月諸: 第二稿の時は粗が結構ありましたけどね、最終稿では仕上げてきましたよ(笑)

イコ: 仕上げてきましたか。さすが(笑)

緑川: サブタイトルを「三好君の人間観察日記」としたい。

イコ: コミカルに書かれているところ、書かれ方は、緑川さんの「僕と職場仲間の話」にも通じる気がします。

緑川: 閉鎖空間ですからね、どちらも。

イコ: あー、閉鎖空間ですね、たしかに。

小野寺: 対日居用の作品は今鋭意作製中です。これ群像と新潮に出します。対6用。

あんな: 対日居用(笑)

イコ: 過激派だなぁ(笑)

緑川: どうしても周囲にいる人間をえぐるように見てしまう。ただ、見る人間にも偏りがあるので、なんか独特な感じが出てしまうのかと。

緑川: この主人公、三好君も偏りというか、独特のレンズを通して周囲を見てますね。

小野寺: いえ、そうは思わないですけどね。

緑川: そうですか? 固着してますよ。周囲の人物に対して。

小野寺: でもこの場合やばいでしょ。周りを監視しておかないと、知らない間に何されるか、わからない。

緑川: だから、見てますね、って言ってるんです。

小野寺: そういう意味で三好君も違和感ないですよ。

緑川: 違和感?

小野寺: サラリーマンなら当然ですよ。周りに注意を払うのは。

緑川: だから、そういう当然なことを言ってるんですよ、確認の意味で。

イコ: ふたりとも話していることがずれているわけじゃないですね。

緑川: 同じこと言ってる気がするんですけど……。

イコ: ちょっと話題をかえると。妻が指摘していたのですが、大学事務をやっている妻から見ると、こういう大学寮というのは、すでに死滅しようとしているようです。

 妻のつとめている大学の寮は、数年前に自治組織が解体され、鍵つきの完全個室制になり、食事も集金もすべて個人と大学のやりとりになってしまったそうです。先輩が利権の中心にいるような制度がなくなったので、今ではこの小説の先が見えちゃっている、今あえて書くなら、その先を書いてほしいと思ったそうです。

小野寺: 前半部分にあるようにあと数年で寮は海外留学生センターに替わるということです。だから劉が来たんです。

イコ: ではこの小説で、この権力構造は、終わりが見えている?

小野寺: もうほとんど終わっているんですね。ただ絶滅種の話として書いているんです。現在に通じるものではない。

イコ: 疑問が二つあります。終わっているように見えないというのが一点。小野寺さんが上で、権力のメカニズムが現代でも普遍的であると述べたことが一点。気になります。

小野寺: でもこういう空間で育った政治少年や法律に詳しい者たちはその論理で今も動いています。

イコ: あ、なるほど、この時代、こういう空間で育っているから、現代にもこういう権力構造が普遍的に残っていると。

小野寺: そうですそうです。

イコ: そうつながってくると、おもしろい感じがします。

小野寺: 次回書くとしたらそのあたりを露骨に書きます。今回の作ではわかりにくい。

イコ: まだ時間があるので。逆に小野寺さんが聞いてみたいことなどありませんか?

小野寺: 実は毎回同じようなものを書いていますが() 微妙に「私」をずらしているんですが、わかりますかね。

イコ: 「私」をずらす、とは……。

小野寺: 私の「感覚」「想い」などを微分していってるんです。

あんな: 私っていうのは作者ですか?

小野寺: そうです。

あんな: 作品の中に個人的な感情を微分して入れてるってことですかね?

小野寺: はい。

あんな: 私は小野寺さんの作品すべて読めてないかもですが(すいません)たぶんわかってないです、そこまでは。。

小野寺: 了解です。

イコ: んー、ちょっとよく分からないです(笑)あとで具体的なところを教えてください。

小野寺: はい。

 

イコ: では今日の合評会は、これにて終了したいと思います。みなさん、ご参加ありがとうございました。

ふかまち: ありがとうございました。

小野寺: みなさんありがとうございます。

緑川: お疲れ様でした。

あんな: おつかれさまでした。

日居月諸: お疲れ様です。

 

 

【放課後トーク&おまけ】

 

小野寺: 小説道に精進してさらなる研鑽に努めます。緑川さんも精進してください。

緑川: はい(汗)

ふかまち: 応援してます。

イコ: 精進(笑)なにするんすか、精進。

小野寺: 欲望を抑えてひたすら読み書きするんです。

イコ: パチンコしたいなぁ~~とかですか(笑)>欲望

小野寺: まあ、そういうもんですね。

イコ: うむ、たしかに精進せねばなりますまい……。

小野寺: 日居さんは即身仏になるくらい精進してますから見習わないと。

イコ: 即身仏(笑)

 

緑川: そろそろ寝ますけど、さっきのイコさんの短歌について。最初の5文字を読んで、続く言葉が予想の範囲内か、想定外かの違いです。

イコ: 後半5首は予想の範囲内ということですね、緑川さん。

緑川: 読んだ後でそう思っただけかも知れないですけど、意外性というか、そういうのがあまり感じられなかったので。

小野寺: ああ、なるほど。

イコ: なるほど、次はめちゃ意外な感じにしよっと。

緑川: 大鬼のカゲとか、お! と思った。

小野寺: 緑川さん、字余りが1首に2か所というのはいいんですか?

緑川: あまり気にならないですね。まあ、短歌に詳しいわけでもなんでもないので

イコ: セキレイのやつは、はじめは字余り5か所でした。

小野寺: それは自由すぎます。

緑川: ボブ・ディランの歌詞とか字余りぽい気がします。英語、分かりませんけど。

イコ: あー、たしかに。ちょっと前、日本にも野狐禅っていうフォークミュージシャンがいて、歌詞がすごく字余りっぽかった。

緑川: やこぜん、ですね? 師匠につかずに、1人で勝手に座禅組んで瞑想することを、野狐禅っていいますね。あまり良いこととはされません。

イコ: フォークの人って字余り多いのかも。

イコ: 野狐禅は「自殺志願者が線路に飛び込むスピード」っていうのがデビューシングルだったんですけど(笑)なんかすげー字余りっぽくないですか。

緑川: なるほど、昔の吉田拓郎からしてそうですね。では、そろそろ落ちますね。あと、よろしければ、おやすみなさい。

小野寺: おやすみなさい。

 

(文責:イコ)