twitter文芸部のつぶやき

フォロワー募集中!

オフィシャルアカウント

部員のつぶやきはこちら

現在の閲覧者数:

11月度合評会

 

創作合評:11月23日(水) 21:00時 skypeのグループチャットにて

参加者:annaendo、イコ、神崎裕子、緑川、る(shiroyama)

対象作品:イコ「電気魚のなかで」
     る 「きれいな詩」
 

イコ「電気魚のなかで」

緑川: 「電気魚のなかで」、まずどなたか口火を切って頂きたいのですが
annaendo: 題名になっている電気魚について話してみたいですね
緑川: どうぞ、あんなさん
annaendo: 私は、かれの視点から見た世界という感じがしたんですけれど、
緑川: はい
annaendo: 見られていると意識している→誰もみていない、という
神崎裕子: この世代特有の自意識過剰さも出てそうですね
緑川: 主人公の年齢らしい感覚かなと思いましたが
緑川: ですね
緑川: 彼の視点から見た世界というのは、主人公に寄り添う三人称だからですかね
イコ: ふむふむ。作者からいくつか語ってほしいことがあるんですが、いいですか?
annaendo: お願いしますー
緑川: どうぞ

 

●作者より提示
イコ: ①「電気魚」という表現について。
イコ: この表現は都合、二回しか出てこないけれども、これは是か非か
イコ: ②「三人称」を用いたことについて。
イコ: 一人称的三人称であるが、それは説得力のある書き方であったか
イコ: ③「青年」について。
イコ:青年の存在をどうとらえたか?

 

●「電気魚」という表現について
緑川: では、①から行きましょうか
緑川: 私は、電気魚という表現は面白いと思いました
緑川: ただ、作中でどれくらい大きな要素を占めるんだろうかと
緑川: これは、ちょっと考えた部分です
る(shiroyama): 俺はちょっと唐突感があったなぁ
annaendo: 私も面白いと思いましたが、それが彼の内向的な部分の描写としたら少し物足りなく感じてしまいました
神崎裕子: 表現自体は面白いけれども、電気魚である必要性がないようなきがしmさした
神崎裕子: しました
緑川: ん~、ただ電車の中の高校生女子の部分は、作品で大事なところなので
緑川: やっぱりタイトルは、電車に絡んだものになるのかなと
annaendo: わたしもそう思います
緑川: えっと、テニス部とか主人公の日常は日常として
緑川: 電車の中の高校生女子は、友人とかの立ち入れない彼固有の内面の世界であると思うので
annaendo: 高校生女子はかれがまだ青年になりきれないことの象徴のように感じましたけれど
神崎裕子: ぼくはあんなさんと同じ読み方舌
緑川: ん~、では例えば
緑川: 終わりの部分の
緑川: 「女子はこんな西日のあたるところで、本を読みつづけていたのだ。どうしてこんなところで読める?」
緑川: ここ、どう解釈しましょ?
緑川: 私、最初引っかかったんですよ
る(shiroyama): 最後ややこしいね
annaendo: 最後女子はいないんですよね?
る(shiroyama): 乗り越した、って設定であってるのかな
イコ: 作者は基本的に、語らないつもりでいるんだけど、質問あったら一応聞きますよw
緑川: えと、続けますね
る(shiroyama): ほい
緑川: 日差しが強いって、要するに季節が変わって、角度が変わったってことじゃないかと思いました
緑川: で、この年頃で季節が変わるっていうのは、すなわち成長を意味する
緑川: この少し前に、「けれどかれは自分のからだの成長を、誰にも伝えることはない」って1文もありますし
annaendo: 季節というよりも、女子を同じように本を読んだ、というのが鍵では
緑川: んっと、もう少し・・・
緑川: で、体の方は自覚できるけど、内面の部分の成長というか変化は
緑川: 自分では上手く言葉にできない。それを、象徴的に語ってる場面ではないかと・・・深読みしすぎですかね
る(shiroyama): なんというか、「追いつけない」という感情自体青年期特有のものとして描かれているよね
る(shiroyama): 作中主体は、自分を少年と自覚しつつ、なにか自分にはわからない世界に入っていく、そこで女子との断絶を感じるんだけど
る(shiroyama): そのこと自体が、青年期を物語っているような気がした
annaendo: 私は女子との断絶というよりは、近づいたように感じた
緑川: >なにか自分には分からない世界に入っていく
イコ: 色んな見方があって楽しいぜ。
る(shiroyama): 俺の考えで③にこたえると、「青年」は青年じゃないってことになる
緑川: えっと、①に関してはいいですかね、もう
annaendo: そういう見方があったんですね
イコ: 青年じゃないっていうと、どういう存在だと思った?
る(shiroyama): 女子の読書への興味という段階が青年期を象徴してて、そこにすでにいる「青年」は単なる他者としてしか描かれていないよね
イコ: (①に関しては、やっぱ、るさんになるんだけど、「唐突感」ってのをもう少し聞いてみたいな。)
緑川: ん~、もうちょっと①いいですかね
る(shiroyama): 単に、魚っっていうのが具体的イメージが灯りにくいかな
イコ: うん、プミさんにもいわれた
る(shiroyama): ナマズとかアナゴとか、それならもっときたかもしんね、
イコ: それについては、実はプミさんには反論したんだけど、みなさんはどう思う?
annaendo: 電気なまず
イコ: (ま、作者が反論を用意する時点で負けなんだw)
る(shiroyama): デンキナマズはごめんまずいね 笑
annaendo: w
神崎裕子: w
緑川: 別に足があるわけじゃないし、魚で許容範囲ですけど、私は
イコ: デンキナマズだったら意図とずれるなw
神崎裕子: まあおかしなイメージにはなってますね魚では
イコ: 中学生の妄想だってことをキーとして電気魚として書いたんだけど
イコ: ここに説得力をもたせるには、どうすればいいだろう
る(shiroyama): 導入時に、水のイメージの叙述でかためる
イコ: あ、なるほどね
annaendo: 電気魚自体はいいと思うけど、もう少し妄想を掘り下げたら唐突感がなくなるんじゃないだろうか
イコ: 妄想を掘り下げる・・・
緑川: 電気魚っぽいイメージを、他の箇所でも使う
annaendo: そうですね
イコ: 一気に具体的になったな。助かる
緑川: 主人公の思考というか、妄想の癖のようなものとして使う
イコ: 今回の作品ではイメージ(エレメント)を使わなかった
イコ: それは反省点だ
神崎裕子: 電気魚形成?の過程をのべるとか
イコ: はいはい、なるほどね
イコ: チャップリンのモダンタイムズを引いてきた場面があるんだけど
る(shiroyama): うん
緑川: あ
緑川: 結びつかなかった^^;
イコ: いや、いいんすよ、作者もあんまり考えてないとこなんでw
イコ: あんな風に、主人公の見ているモノ、影響を受けたものをひっぱってくるのは有効かもしれんと思った
イコ: おれは中二のとき、あらゆるものからそれとしらずに、露骨なまでに影響を受けていたもんなあ
神崎裕子: なるほど

 

●「三人称」を用いたことについて
緑川: では、そろそろ②に移りますか?
イコ: プミさんには、この人称は説得力が薄いといわれた
イコ: 一人称と置き換え可能だから
る(shiroyama): それがイコール悪いとは思わないけど
イコ: (作者んなかでは、一人称では書き得ないんだけど、そう思われてしまった)
緑川: 一人称でこれ書くのって
緑川: 逆に、難しいですよ
緑川: この年頃の少年って、周囲の出来事とか、黙って見てること多いし
緑川: 判断下したりもせずに
緑川: で、あとになって影響を受けてたとか思うわけで
annaendo: 三人称だからまわりの登場人物が映える気がする
緑川: それも、あるかな
る(shiroyama): 気になったのは作者と作中主体の距離たまに崩れるってことだなぁ
緑川: ふむふむ
イコ: 距離ね
神崎裕子: うんたしかに
annaendo: どういうところですか?
る(shiroyama): ままならなさなど無縁に思われる。それを垢抜ける、と世間では言うことができるのかもしれないが、まだ中学生のかれに、その言葉は浮かばない   こことか、ちょっとあれ?って思った
イコ: ふむ
annaendo: ほう
る(shiroyama): 作中主体によりそっている語り手がたまに離れるというか、一定にしてくれと思った
イコ: 一定にした方がいいのかね
る(shiroyama): 平坦な場面での叙述方法の変化は戸惑うよ
イコ: わかった。やるにしても、自然な変化でないということだね
る(shiroyama): 俺が思ったのは、女性から見てこの話ってどうなの? ってことなんだけど
annaendo: えっと…
annaendo: 女私一人ですか?
る(shiroyama): うん
緑川: 紅一点^^
annaendo: うお
annaendo: やはり確実に実感としての青年期の感じはどうしても共感できない部分ありますよ
る(shiroyama): 作中主体の心理描写が結構くわしくされてるわけなんだけど、
る(shiroyama): なるほど
る(shiroyama): あまりにくどい描写が続くような気がして、男だからまだ実感をもってよめるのかなーって
緑川: しかし、それ生々しいですか?
る(shiroyama): もちろん、作者は色んな読者を想定しなければいけないとかいうつもりはないけどね、客観的にどうだったのか聞きたくて
る(shiroyama): 緑川さんは、男から見ても、あまり実感はなかった?
緑川: 暑苦しい部分とかあるけど・・・そんなふうに書かれてると思うんですけど
緑川: 体温とか、匂いって感じにくい文章かなと
る(shiroyama): なるほど
annaendo: 女は毛とかこだわらないですよ、だからこそ心理描写細かい方がありがたいっていうか
annaendo: 実感としてはないけど、重ねることはできる
神崎裕子: ここでは象徴としての毛ですからねえ
annaendo: はいw
緑川: ですね
緑川: 心理描写・・・、自分の心理をうまく言語化できない年齢ですからね
る(shiroyama): んで描写に匂いとか体温を感じないって話なんだけど
緑川: はい
る(shiroyama): それだけだと余りにも抽象的すぎるので
イコ: 緑川さんは、イコの他の作品でもそう思う?
緑川: いや、実はイコさんの文章全体の特徴かと思ってます
イコ: そらちょっと凹むなあw
緑川: いやいや、良いか悪いことなのかもよく分からないし
緑川: るさんからは、あまりにも抽象的って言われましたけど
イコ: イコ自身が目指してる形と読者の受け取りがずれてるってことっす
神崎裕子: 臭いとかいれたいなら具体的にたとえば薔薇の香などといれてもいいかも
緑川: 実際上手く説明できないので、言わなかったんですよ
イコ: 花の香りとかってさ、具体的なようで、具体的じゃないじゃんぬ
る(shiroyama): 俺はね、もっと汚い心理を入れた方が
る(shiroyama): 臨場感が出ると思うんだよね
イコ: なる
る(shiroyama): 隣にいる人を何の意味も無くこきおろしてみたり
annaendo: 匂い、温度ってのも人によってですよね、感じ方
イコ: たしかにね。でもそういうの入れすぎると、一人称的な意味合いが強くなりすぎて、崩壊しかねないと思うんだよね
annaendo: 同感
緑川: 人によりけりかぁ
神崎裕子: うん
る(shiroyama): ふむ、嫌悪感、みないなものをさらっと挿入すると、主体の立体感が増すと思うんだけど
イコ: たしかに、ちょっと偏りすぎてたかも。
イコ: 匂いとか温度は、あんなさんは感じられた?
annaendo: 具体的な匂いとかってないんですけど、臨場感みたいなもんは感じましたよ。三人称でのぎりぎりかなと思いましたけど。あれ以上書いたら私だったら崩壊ですね
イコ: もちろん匂いってのは、単なる嗅覚的なもんだけじゃないから、それで伝わってんならありがたいんだ。場の雰囲気ってことだね
annaendo: はい

 

●「青年」について
緑川: ③いきますか、そろそろ
イコ: お願いします。嫌悪感、臨場感は、もっと意識するよ。
緑川: さっき、るさんの言いかけたこと
緑川: もうちょっと、お話しして欲しいけど
る(shiroyama): うい
る(shiroyama): 作中主体は最初から最後まで青年だよねって言いたかった
annaendo: 実際少年と青年の違いって何なんですかね
る(shiroyama): 小説内ではあたかも第二次性徴をその分け目として描いておいて、
る(shiroyama): 全体としてはなされている内容は、青年期的な内容だと思ったな
る(shiroyama): だから「青年」は単なる他者のことであると感じた
イコ: その青年期的な、ってのは、心理学的な分類における青年かな?
る(shiroyama): いや、この物語で、主人公は青年になろうとするでしょ、そのこと全体が青年期だ、ということを作者は描きたかったんではなかったかなと想像した、
イコ: ん、はっきりした。みなさんどう思う?
緑川: それは気付かなかったかな、>全体として・・・青年期的な内容
緑川: 友人たちとの交わりで、子供っぽさを表現されたかったのかなとも思ったし
annaendo: 作中で主人公は必死にその線引きをしようと試みますよね。わたしはそちらに気をとられていた気がします
緑川: その対比で、電車のシーンもあると読んでました
神崎裕子: 友達を見下している反面友達は第二次性徴を迎えている
神崎裕子: これは重要だと思うんだけれどもどうおもいますか
緑川: ポイントでしょうねえ
緑川: だからこそ、少年―青年の対比に敏感にもなる
神崎裕子: 僕は主人公はどっちでもないように感じた
神崎裕子: いや、語弊があるかなどっちつかずですね
緑川: いや、主人公そのものが分裂しちゃってるのかな
緑川: すでに青年の意識を持ちながらも、自意識は少年を引きずってると
イコ: 自分は教育学部出身で、青年の心理について、ほんのすこしだけ、かじってるんですけど、それが下敷きになってるとこはありますよ
イコ: 領土でも、電気魚でも、主人公に対して、心理学的な用語で、ある言葉を冠することが、一応できるんですけど
イコ: それやっちゃうと文学にならないから、やらないっていうw
緑川: ああ、それは
緑川: されない方がいい^^;
イコ: だいたい、そういう言葉に当てはまるものを書いてしまうこと自体に、限界を感じてはいます・・・
る(shiroyama): 俺もそれは感じたかな、一般的すぎるというか、言っちゃえば平凡だよね
イコ: そうなんだよね
る(shiroyama): 例えば誰か、この主人公に対して愛着を感じたかな?
緑川: あぁ、なるほど
緑川: そういうことか
る(shiroyama): そこはちょっと力が弱い気がしたね
イコ: 平凡でもね、書き方によってどうとでもなるたぁ、思うのよ
annaendo: 必ずしも愛着がわくか、で判断はできないと思う
る(shiroyama): 愛着の問題?
イコ: 平凡な人物のなかにも、言葉にされてないものはあるだろから
緑川: ラストは、その予兆めいた感じがします
イコ: 愛着はね、おれも必要ないって思ってる
緑川: 愛着というか、個性、魅力?
神崎裕子: 愛着というか感情かな対してわかないね
る(shiroyama): 個性、魅力、でもいいと思う、 ただ短編だから必ずしもそれをさせなくてもいいってのはあるだろうね
イコ: その人間の生き方から、よびおこさせるもの、感興だろうね
イコ: 今回のは、数年前書いたやつが、三人称らしくなり、短くなって出てきた感じなんだけど、
イコ: 数年前のやつの方が、嫌悪感剥き出し、問題も切実で
イコ: 読む側に刺激的ではあったろうなと反省してる
イコ: 緑川さん、ラストの予兆とは?
緑川: ここ、やっぱり主人公の何か変化を予感させる瞬間を
緑川: 切り取っておられると思いました
イコ: ふむふむ
緑川: >ほどなく消える夏の光
緑川: そう考えると、良い場面じゃないかと
イコ: 6さんにも最後は評価されたなー
 イコ: だいぽむも褒めていた
緑川: ふむふむ
イコ: そこにいたるまで、もう少しなんとか積み重ねるべきでした。
イコ: ありがとう、勉強になりましたよ

 

●ラストのシーンについて
緑川: あと他に、皆さん、言い残したことはありませんか?
る(shiroyama): 全体通して纏まっているとは思った、それは良い点、
たださっきも言ったように感興が少ないってのは、読者を強烈にひきつけないよなぁと、エピソードがそれぞれ弱い気がして
イコ: だね。分かったよ
annaendo: 勉強になりました
る(shiroyama): 聞きたいんだけど、
イコ: どぞ
る(shiroyama): 青年と女子が同じ車両で本を読んでいる。ずれてきた鞄を肩にかけ直す女子。吊革を握った腕から、青年の手首がのぞいている。青年がくたびれた本のページをめくる。女子もページをめくる。周りには、二人と同じ色の制服を着た男女が何人か座っている   この段落って日付かわってる?
イコ: うん、どう思ったの?
る(shiroyama): いや、変わってるのがわかりにくいと思った
る(shiroyama): みんなすっと読めたんならいいんだけどね
annaendo: 曖昧さがいいんじゃないですか?
神崎裕子: うんかわっているかわからなかったw
緑川: 最初気付かなくて、後で違和感おぼえて
イコ: ちなみにイコの「うん」は、ただの相槌だからねw
緑川: 回想シーンということで納得させてました
イコ: わざと曖昧に書くってのは、よくやることです
る(shiroyama): あえてやってるならいいのかな
イコ: 最後はすげーぼやかしたから、違和感のある人もいるのは分かるよ・・・
イコ: それがより多くの人にハマるように、も少し研究するよ
る(shiroyama): わざと違和感与えるって高等テクニックだなー
イコ: 基本的に、読むスピードとか、詰まるとことかはぜんぶ意識的にやってるつもりだよ
緑川: では、そろそろ次に行こうかと思いますが
緑川: よろしいでしょうか?

 

 

る「きれいな詩」

●最初の印象
緑川: るさんの「きれいな詩」、さあ、参りましょう!
イコ: 読めば読むほど、おもしろくなってきたよ
annaendo: 読めば読むほどまとまらない
イコ: 一読目は「知らんがな」だったけどね
annaendo: w
緑川: 正直とっつきにくかったですね
annaendo: 最初からあまり引き込まれないですね
る(shiroyama): 知らんがな、ってのは確かに俺の詩によくあることだなぁ、読者をつかまえることができない
イコ: とっつきにくさってのは、たしかにあるんだよ
イコ: 文学極道でもいわれてたよね
緑川: 言葉がすんなり呑み込めないし
る(shiroyama): うん、現代表の人に厳しいこと言われた
イコ: 読者を巻き込む驚異的な一文があってもいいだろって類の意見があったよね。これは大事だと思う、やっぱ。
神崎裕子: 詩はよくわからんってのはあるがその象徴的になったよなw
イコ: はははw
イコ: いや、わかるぜ、これw
annaendo: ひもといていくっていう面白さはある

 

●鎮魂歌ではなくて……
緑川: 鎮魂歌ってことでいいのかな
イコ: 鎮魂歌なんて、かっこいい言葉はいらない気がするw
緑川: 少々複雑な事情はありそうですけど
イコ: 「うっとうしい男の、カッコ悪い妄想パッケージ」→きれいな詩
イコ: 皮肉こもってんよね
る(shiroyama): まぁ、タイトルにきれいな詩、なんて普通つかわんね
緑川: なるほどなぁ
イコ: そこはおもろいんだけど、愛着の問題はつきまとうかもね
annaendo: 読者から接近していかなければならない億劫さはありますよね
イコ: そうだね
る(shiroyama): ただ詩というのは、一発でわかられると、それは駄作だって思うんさ
イコ: そうだね
る(shiroyama): 1分で読めるわけじゃん、
イコ: 目ぇ滑らせないようにどうするかってことだと思うよ
イコ: わかんなくても、「こらなんか違うぞ」って思わせるんが大切なんじゃないかね
る(shiroyama): うん、いい作品って1行目からなんか違うんよね
神崎裕子: ふむ…
イコ: んでだ
イコ: この作品は、3読目までは、見事に滑った
イコ: だが4読目以降、音読し始めてから変わってきたんだ、おれは
神崎裕子: 詩だから音読は大事ね
イコ: どこひっかけて読めばいいのか、気がついたってのかなw
緑川: ふむふむ
annaendo: ふむ
annaendo: 音読されることを詩人は意識するんですかね
る(shiroyama): しますね
annaendo: ほう
神崎裕子: 韻もありますし
annaendo: イコさんのひっかかりが気になるんですが
神崎裕子: 例えば漢詩は音読前提
神崎裕子: 日本語の詩もそうですね
緑川: イコさんのひっかかりは私も気になります
イコ: 散文詩だから、韻はやんないだろうけどね

 

●水と光
イコ: んじゃおれの読み方を、参考までに
イコ: るさんの電気魚についての話でもピンときたんだよ
る(shiroyama): ふむ
イコ: 魚の比喩出すんだったら、水のイメージを埋め込めってね
イコ: るさんは、この詩のなかで、イメージを埋め込むことに、めちゃくちゃこだわってるよ
イコ: この色分けは、多少雑なのは許してね
る(shiroyama): 水と光かぁ、おもろい
緑川: ん~
イコ: これはかなり考えてると思ったね。そこからいきなり、この詩が分かってきた実感に出会えた
緑川: 水面と天空って感じで見てましたけど
緑川: なるほど
緑川: 水と光だと、もっと中まで入れるか
annaendo: 私はオシリスから解体していったので、君との距離みたいのを意識してました。
イコ: お、それもおもろいかもしれません
イコ: 星を出すってことは
 イコ: 神話を意識するってことですからね
イコ: ま、この詩はそこまで構造的なたくらみはないだろってのが本音w
緑川: オシリスは分かりませんでした
神崎裕子: たしかに
る(shiroyama): イシス・オシリス神話はみんなしってるかな?
annaendo: 神話の中で遺体がバラバラにされるところから君の体内から流れ出た液体が天の川に流れるイメージ
イコ: しらんかったから調べたよ
緑川: 知ってたけど、忘れてた
緑川: あぁ、知らないことと同じか
イコ: おれは、オシリスが7等星っていう、ほとんど見えない星であることに注目して
イコ: 結局妄想をあらわしていると読んだけどね
 annaendo: 神話と惑星、両方意識してるのかな、と。光のイメージが頻繁に出てきますし。
る(shiroyama): なるほど、
イコ: 光のイメージは重要だと思った

 

●具体的なイメージ
る(shiroyama): イコさんつぶやいてたけどさ、具体的なイメージが突然出てくるって
イコ: ほい
る(shiroyama): あれが、まぁこの詩の種明かしなんだけど
イコ: あれさあ、やんないほうがいいと思うんだよね
annaendo: 私もやんない方がいいとおもった
イコ: 『あの日の私が部屋のドアを開けると横たわる君がいて近くに転がる余りに多すぎる薬剤の空き瓶』
る(shiroyama): そうかぁ
annaendo: 説明的な気が
イコ: におわせるだけでいいじゃんの
る(shiroyama): 語り口が変わったのはあえてだけど
る(shiroyama): うん、それは、言われてたね、え?これだけ?って思うって。
イコ: そうなんだよね、スケールダウンしちゃうんだ
イコ: 妄想にまじめに付き合う気をなくしちゃうんだよね
イコ: この男が彼女にもたらした影響ってのが、男にとっての苦悩にもなるんだろうけど
annaendo: におわせる程度で、わたしなら冒頭にもってくると思う
イコ: 冒頭か・・・やりようによっては、読者をひきつけるかもね
る(shiroyama): そもそも最初の3行でしるかぼけ、って言われる詩だからなぁ
イコ: そうなんよ
annaendo: 冒頭にもってくることで、引きつけることはできたと思うんだが
イコ: 「瑠璃を毀ちた」の六文字で読むことやめるやつもいると思うよ
annaendo: 確かに
緑川: はいノ
緑川: 最初、冒頭で躓いた
る(shiroyama): それはどうなんだろう、俺としては手癖のように普通に出てくる言葉なんだが
イコ: だから出しちゃだめなんだよ
annaendo: すげー
る(shiroyama): やぱきついのかな
緑川: のめり込む様な宙に、でもう一度躓きました
イコ: ような、が二回出てきてるしね
る(shiroyama): イメージの伝達がうまくいっていない、ということだね
緑川: ですです
イコ: 何度も読めば分かってくるんだけどねい
緑川: うまくイメージできなかった
イコ: ぱっと灯ればいいね
緑川: はい。何度か繰り返して、いやちょっと待てって感じで
緑川: 読み込もうという感じになったかな
annaendo: 何度か読むうちにイントロダクションみたいなものと理解した
る(shiroyama): まさにそうだね、イントロダクション、そのつもりでかいた
る(shiroyama): 最初の3行の話だけどね、そこが勝負だったけど、あっさり負けたなぁ
緑川: いや、こちらに問題があったのかも
緑川: こういうスタイルは、あまり馴染みがないし
イコ: 徐々に光ってくるんだけどね、最初の三行
神崎裕子: ふむ…
annaendo: だろ?というのが余計読者をおいていく感じがするんだが、どうですか?
イコ: 最初、「君」ってのも出てこなかったから
イコ: この呼びかけがどこに向かってんのかわかんなかったよね
イコ: われわれ読者に向けられたものだとするとね
神崎裕子: 確かに
イコ: ほんとに「しらんがな」だよw
annaendo: まさに
 annaendo: そうですね
イコ: 異化された言葉で、そのうえなんだかよくわからんが説得させられるような呼びかけだったら
イコ: うん、そうか、となるかもしれんけどね
annaendo: 君、というのが出てこないかぎり読者は自分に向けられてると思う、と思う
る(shiroyama): 最初の呼びかけは読者に向けてんだけど
annaendo: あ、そうなんですか
イコ: 呼びかけは、もういない「君」に対して、妄想を吐き出すように、続いていくんだって読んだけど
緑川: 私は、誰に言ってるんだろう? と思ってた
緑川: そして、先の方を読んでるうちに忘れてたとか^^;
イコ: 小説も詩も同じだから、こっちの問題ってことはないと思うんすよ。小説と同じように語れる気がする。
イコ: とくに思想的な予備知識のいる作品とは感じなかったしなあ
る(shiroyama): イシスだけ知っておいてくれれば、思いだしてくれればって感じだったかな。
イコ: やっぱ、神話と重ねてんだなあ
イコ: るさんによる、詩人の、メタ的な皮肉だと思ったんだ、おれは
る(shiroyama): お
イコ: きわめて個人的な主題を扱い、大したことでもないようなことを、大したことのように、ややこしくきれいに語るっちゅう
イコ: そういう詩人のスタイルを、るさん自身割り切れないとこを持ちながらも、少し違和感をもって見てんじゃないかなと思った
る(shiroyama): 大体あてられちゃった、
イコ: だから、神話と重ねるってのは、そこまで重要じゃないと思うんだよね
annaendo: 神話を入れることで大したことのようにしている、ということですか?
イコ: あー、そうかもしんないすね
る(shiroyama): そうそう
イコ: ボートから、宇宙まで視線を広げてんだよね
イコ: ちゃんと彼女のこと見てやれよー
イコ: w
annaendo: w

 

●時系列、レトリックと事実
る(shiroyama): これ、時系列あると思いました?
イコ: どっちでもいいなと思ったよ
annaendo: ないと思った。ごちゃごちゃ
緑川: そもそも時系列自体、気にしてなかった
イコ: すべて記憶のなかの世界でもいいし
緑川: 時系列に、意味があるのか分からなかったし
イコ: 逆にボートに「君」と乗っているところ、ボートにもういないで一人で乗っているところ
イコ: そこをつなぐのが、「光り出した」っていう連
イコ: と考えてもよし
イコ: ボートにははじめっから一人って考えてもよろしい
る(shiroyama): 君がいるボートと、いないボート、の対比だけ伝わればいいかなぁって感じだった
る(shiroyama): うん、はじめっからいないでもいいよね
イコ: その対比もね、やっぱ、けっこう読まないと、きちんと見えてこないと思うよ
る(shiroyama): んー、俺としては、結構読まないと伝わらない情報があるってのはいいことだと思うんだよ
annaendo: 見えてないっすw
イコ: 緑川さんの言い方は、ほんとに、初読の自分がそうだったから
イコ: んでも、重要なとこは、もう少し伝わっておいた方がいいんでは?
イコ: 細部は徐々に見えてくればでいいよ
緑川: ん~、雑な読み方してたな、私。申し訳ないです
る(shiroyama): ただ読者をひきつける力がないってのは欠点だね、こうやって丁寧に解釈されるという前提でしか、描かれてないと言われても仕方ないかなと思う
る(shiroyama): ふむ、君がいるボートと、いないボートっつーのは、けっこう見えてこない構造になっちゃってるわけね
イコ: はっきり書いてんだけどね
る(shiroyama): うん、何が問題なんだろなー
annaendo: 君が消えていったのとこですか?
イコ: 薬剤の空き瓶で「死」が伝わり
イコ: 五連で喪失が表面的になる
る(shiroyama): 死の記憶→波紋、って感じに読ませようって意識だった
る(shiroyama): イコさんほんと丁寧に読んでくれてんなぁ
イコ: あたぼうよ
annaendo: 正直ちょっと掴みきれてなかったかもです
イコ: なんでつかみきれないのか、それが問題だ
イコ: それは読者のせいではないぞよ
る(shiroyama): うんうん
イコ: やっぱ、大仰にしようっていう、この男の語りのそもそもが、事実をぼかしてんだろうね
イコ: だから事実っぽいことが書かれると、違和感なんだが
る(shiroyama): だね、どのレベルで、彼女の死を語るか、ってのはやり間違えたかも
イコ: 彼女の死をにおわせるイメージを、もっと埋め込むか?
緑川: その事実っぽいところを拾うような読み方をしてましたね、私
イコ: 『あの日の~』を消して。
緑川: 飾りっぽいとこをを意識してかしないでか、スルー気味でしたし
イコ: 飾りっぽいとこ、というのは?
緑川: >お尻の右側が光り出した、左の乳房が光り出した
緑川: 冒頭部もそうかな
イコ: レトリックにとりわけこだわってるとこってことですね
緑川: ですね
緑川: >ぬいぐるみのパーツのように、バラバラに縺れだす君の体
縺れだす私、その中で君はたしかにたくさんの私の星座を抱いていたね?
さざ波のように散らばる夜の隅々から、ほつれた君を探す接吻の記憶
私の方に少しく沈み込む船の舳先に、君が居ない今宵の月
緑川: 喪失感は分かりますけど、過剰な印象でした
緑川: もっと読み込めば
annaendo: レトリックにこだわってる部分と、事実っぽいところのバランスが悪いですよね
イコ: 表現過剰、伝達不足なのかねw
る(shiroyama): 装飾が過剰ってことかな
緑川: また違ってたのかも知れないですけど
る(shiroyama): 事実のところを、あえて説明口調で他の行より長めに書いたんだよ、そこを読者が読解の足がかりにできんじゃないかなって
イコ: ん、わかる。なる。
緑川: ん~、やっぱりこっちの読み方が問題なのかな
annaendo: 他の解読に忙しくて、せっかくのヒントを見過ごしたわたし
る(shiroyama): ただ、彼女の死を語るレベルの問題で、全体がスケールダウンしてしまう
る(shiroyama): というのがさっきのイコさんの意見だね
イコ: はい、そうですね
イコ: 五連以降は、どうしても。
イコ: 男の妄想ってより、もう少しでかいものを見たかったってのが本音

 

●タイトルについて
る(shiroyama): きれいな詩、とタイトルにつけて、きれいでないと思わせて、最終的にでかくてきれいだったら最高だったんだけど
る(shiroyama): 文極でも言われてたけど、やっぱ種明かしでスケールダウンするね、
イコ: 「きれい」ってのが、一種の皮肉だからさ
イコ: 作者→「きれい」
イコ: って感じで、上から見てる以上
イコ: どうしても、「最終的にでかくてきれい」ってとこにはもってけないと思うんだよ
る(shiroyama): それは、ツイッターでもアドバイスを受けた、最終連でずっこけたと
る(shiroyama): 最終行だ
イコ: このやり口だと限界があるかもねー
る(shiroyama): 最後にキラーフレーズを持ってこれなかった、ってのは失敗だと明確に感じてる
イコ: 結局、皮肉だとしても「表現のための表現」になってるのは否めないし
イコ: 表現ってのは、伝達する内容を、より効果的に見せるためのものだと思うんだよ
イコ: だとしたら、その奥のボートにいる/いないが効果的に浮き上がってこないのは失敗だ
イコ: んで、皮肉なタイトルをつけてるわりに、作者が、この語り手と距離をとれていないんだ
イコ: さっき割り切れていないって言ったのはそういうことで
イコ: るさんはこの語り手と決別すべきだよ
る(shiroyama): うーん、むずいね、語り手と作者が距離とれてないっつーのは確かにそうだ
イコ: 距離とれんでもいいんだけどさ
イコ: こういうタイトルにしたなら、そうするべきだよってこと
る(shiroyama): 意図したところは、最終的に本当に「きれいな詩」にすることだったんだよ、これまじで、笑えるけど
緑川: あぁ、なるほど
る(shiroyama): てか出来たらすごいよなーっつーのを構想の段階で考えてて、
る(shiroyama): 表現でミスったかな
イコ: いい意味で「きれい」ってこと?
る(shiroyama): うん
イコ: なるほどねー
イコ: ロマンチストだなあw
緑川: 期待したから
annaendo: なるほど
緑川: 「きれいな詩」ってタイトルで、
る(shiroyama): きれいな詩、って書けば、全体を異化することになるんだけども、それでも読者をしてきれいだと思わせれたら、っていう淡い考えね
緑川: ふむふむ
る(shiroyama): 構想の割に舌足らずだった感が、うん、 あと俺は衒学的すぎるとおもうんよ
イコ: やー、それはおもろいね。きれいなものを見たいよ実際。
る(shiroyama): 構想はおもろいっしょ? 見せたかったなぁ、くそう
イコ: だから「瑠璃を毀ちた」が出てくるんだろうなあw
緑川: なるほど
る(shiroyama): うん、そこまで読ませれなかったな、
イコ: きれいなイメージって
イコ: 光、水で作りだすには
イコ: 少し、ありきたりすぎたんじゃないかな
イコ: だから、より皮肉な印象が強まったのかもよ
る(shiroyama): ペダンティックに彼女の死を語るのが皮肉で、そっからさらにもう1段階上の「きれい」を描きたかったね
イコ: ふむー
イコ: イコは喋りすぎましたw緑川さん、あんなさん、どうですかw
緑川: いやいや、勉強になりました
緑川: 今回、反省点多いなあ
annaendo: 確かにタイトルって大事だな、と
る(shiroyama): イコさんにも言われたけど、俺は最近のブログに載せてる日記の路線で行けばと詩人の友達にも言われたよ
緑川: 時間とって、読ませて頂きますね>るさん
イコ: タイトルはほんま大事w おれも「電気魚のなかで」はちょっと反省・・・
る(shiroyama): なんか色々としんどい文章だったでしょうがお付き合いいただきありがとうございます
イコ: 丁寧に読むのは勉強になるんよ
annaendo: 楽しかったです、読むの
緑川: では、今日はそろそろこの辺りでよいですかね