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詩「夏の、流れる」深街ゆか

高架下の漂流物だったあのころのわたしの夏はオレンジジュースを飲むたびに思い出される、するどい気泡がはじけると似合うものがひとつ減って、懐かしいともだちの夢を見る。……

詩「透明」新嶋樹

角を曲がっていくたびに/少しずつ透けていく身体/(色を吸って/地上に落ちた雨粒が/逆再生のように/空へ還っていく夢)……

小説「あたしの世界」(61枚)常磐誠

 見てみろ。和真。
 あたしの耳に入る熊みたいなあいつの言葉。その、和真の体をつまみ上げてしまうくらいの太い指が向いた先の建物は、まるで幼稚園か何か、子ども向けの建物のようだと、全てが終わった後、お父さんが私に抱えられるサイズになってしまった後に思った。……

評論「実存主義の新たな形式」(51枚)蜜江田初朗

 生きる目的とは何か。
 あの、晴れやかではつらつとした瞬間、瞬間にして永遠、はつらつとしていて無限の心地よさ、それらを何度も味わうために、そのために人は生きているに違いない。……

詩「詩3篇」る

生きることは苦痛ですらなく/秒針のひとつひとつの歩みを数えることで/風はほとんど意味もなく透きとおってしまうのですよ……

小説「ソメイヨシノ」(27枚)小野寺那仁

 会社をやめたばかりの人間にとって桜並木を歩むという行為は、業苦の薫りをむりやりかがされるに等しい。満開のソメイヨシノなんてまったくどうでもよく思えた。むしろ花弁が目に入らぬように顔をそむけていたくらいだ。匂いが気になったのはそれが理由だったのかもしれない。……

小説「SNOW DANCE」(7枚)彩

 眠くて、それに空腹だった。
 着なれない上等のコートは、腕も肩も動かしづらく首のところがちくちくした。
 ほぼ垂直になるほどつられた右腕が痛かった。手を繋いだ女の香水の匂いでこめかみがうずいていた。……

小説「暗い部屋」(12枚)安部孝作

 カーテンが開かないまま十日過ぎた。そもそも縞柄の布二枚は縫い付けてある。開くべからず、光漏らすべからずという警報がサイレンと共に町中を奔り回ったのだ。息を、身をひそめていなければならない。……