「マーシャル諸島を目指そうよ」　る＆深街ゆか

 

その白い右手がラリックで

わたしの舌べろがラダックであるように絡みついたら

 

白い波頭の打ち寄せる白い浜辺に眠っている白い貝殻に

その肺から一粒の赤い夕焼けが落ちました

夕焼けの赤い、赤い日付けに

お尻に出来た赤いくちづけの痕みたいな

シリアスな靴をはいていましたから

踝にとまるモノトーンのひかり、翻して

あなたは適当なステップを踏んで

石楠花いろのさよならを繰り返すふたりの口から

溢れた海の中で

 

その白い右手がラリックで

わたしの舌べろがラダックであるように絡みついたら

 

ピーナッツの栽培が盛んなんです

落花生ともいいますね

マーシャルピーナッツの花は世界のどんな花よりも白くて

マーシャル語で白いって言うとき、落花生と言うんです

ちなみに、ですが

長年連れ添った伴侶と死に別れるときにも

なぜだか、白い

って言うんです

なぜだかは知らないんですがね

 

その白い右手がラリックで

わたしの舌べろがラダックであるように絡みついたら

 

マーシャル諸島で生まれて

なぜだか赤い糸と呼ばれる糸を手繰りおえたら

落花生、の一言をもらって

地球上の点の点となり

ほんとうのマーシャル諸島人になって

たどり着くことのできるはずの場所

あなたと出会って別れるための

ピーナッツの花が咲き乱れてる

 

あいりーんらぷらぷ

落花生という意味を持つ

マーシャルで一番白い言葉