前触れもなく妻の作ったとんかつ。妻の真意に触れるとき、家族や恋人と演じるわがままなファンタジーの「向こう側」が、否応なしにあらわれる。
冒頭から繰り返される赤と白のイメージ。たどりつくべき場所とは? 一番白い言葉とは? 儚くも幻想的な世界をマーシャルの言葉を借りて届ける。
「あれはほんとうのお父さんじゃない」。幼い「わたし」の幼い夢想。繋がりを求めつつ断絶を望む、強くあやうい関係性が、嘘と本当が溶け合う言葉の沼から浮かび上がっている。
みなさんは「フランダースの犬」を知ってますか? えっ、最後しか知らない? 私もそうです(笑)ところで、Rain坊の新作が出来ました「天使のはしご」是非読んでください。
耳底に残る空襲警報、震災のあとの重機の唸り――。「音」にまつわる様々な語りが、私たちの鼓膜に残る記憶を呼び覚まし、そして問いかける。「お前の耳は、壊されていないか」と。